RECORD

Eno.150 "かしり"の記録

名残雪

「……覚えている?あの寒空の下で、初めて出逢った時のこと」


「あの時のことを、私は今でも思い出せる。大切に仕舞っていたから」


「ただ野を駆け回ることの楽しさ、言葉を交わすことの喜び、誰かを待ち遠しく思う切なさ。
 全部、あなたから教わった」


「───だから、呪いをかけたの」


「……お別れは辛いことだけど、寂しくはない。だって、私の願いは叶ったから」


「さようなら、████……結局、あなたが私の手に入ることは無かったけど───」





「───ずっと、ずっと。覚えていてね」












過去に決着を付け、その先の道を歩き出したその日は。
春の訪れを告げる……名残の雪が降っていた。