Eno.426 柚子澤 零都

■ 第三日目 希望の音、星屑の旋律


ついに二日間を乗り越えた
希望が見える
ずっと張り詰めていたが、みんなが楽しそうに談笑する様子を見ていたら安心して
ようやく肩から力が抜けた

……
みんなと話していて、思い出したこと

俺はどうやらお笑い芸人か何か、だったようだ
だが何かしっくり来ない
転職経験があるのか、他にも職業があったような気がするし
芸人だったかもしれないけど、何か他に……何だろう

凄く、欠かしてはいけないことを忘れている



どうして記憶を失ったんだろうかって考えた
記憶があった頃の俺は
本当に俺自身を知っていたんだろうか
そんなことを思った



もうひとつ思い出したことは、子供の頃の夢だ

『みんなを笑顔にするヒーローになりたかった』

それは叶えられたのだろうか
あまり自信はない





バーバラスの自己破壊的な雰囲気は最初から心配していた
俺にも自暴自棄になった時期があった気がする
その時、本気で死のうとしたことも
良く思い出せないが

だが、彼はこの島ではムードメーカーのような存在だ
みんなを笑顔にしている
安心したを通り越して、心が救われた



俺も誰かの希望になれたらいいよ
そんな風に、この島に来る前から思っていたのだろうか

強くは無いけど星屑のような
耳に残る美しい旋律のような希望、に


………?