■ エリオ・エリキサ 無人島生活の記 その17 泣いちゃったこと
誰だって死ぬときは死んじゃうんだって、言われたことがある。
父さんにそのことを話したら、たしかにその通りで、でもだからこそいがみあったり足を引っぱりあったりするのはおろかなことなんだ、と言っていた。
そして、命の大切さを本当にわかるためには、恐ろしいことを恐ろしいままに受け止めて覚えておけなくちゃいけないんだ、って。
マーティスさんはひどく落ち込んでいた……
ヒトリンさんがイカダで出ていくのを、止めなかったから。
もし、一歩まちがえていたら、ヒトリンさんは今頃……
なんとかしてほしかったって、思わなかったわけじゃない……
マーティスさんがヒトリンさんを抱えてきたとき……ひどいケガをしてかつぎこまれた開拓民の人を見た時のことを思い出した。
その人は手当もむなしく、亡くなってしまったと、後で聞いた……
でもそれは、ボクたちのいるところの話でしかない……
マーティスさんを責めることなんて、ボクにはできなかった。
何より、ヒトリンさんは助かったんだから……
自分のことを未熟だなんて思ってる場合じゃないんだ。
一人のこらずみんなで帰るためにどうしたらいいか、考えなきゃ。