Eno.10 エリオ・エリキサ

■ エリオ・エリキサ 無人島生活の記 その28 灯火のこと

海の向こうはもうまっくらになってしまった。
星と月の明かりと、砂浜でたいている火だけが、あたりを照らしている。

明かりさえついていれば、暗闇の中でも見つけられるはずだ……

誰かに見つけてもらうための火……
思えば、ボクが火をつけるのって、料理やお風呂のためだったり、安全を確保するためだった。
それはきっと、生まれたときからまわりに人がいて、道具もあったから、ってことで……

火を見て、こんなにも祈るような気持ちになったことなんて、なかった……

どうか、船がボクたちを見つけてくれますように。