Eno.134 ■■■

■ 七日間。

あらすじ。遭難した。

死ぬつもりで海に飛び込んで、死なずに無人島に辿り着いてしまった。
一瞬ここがあの世かと思ったけど、あたしの他にも漂着した人がいた。
生きてる人がいるんならあたしもまだ生きてるんだろうと思った。

確か、最初に会ったのはこの子。ジェカちゃん。
しっかりしてて、行動力もあって、こんな訳わかんない状況でも冷静そうだ。
かっこいいお姉さんタイプだけど、お茶目な一面も見える。立派な大人って感じ。
他の人もそうだけど、小屋とか罠とか、いろんなもの作ってくれてた気がするな。
……いや、なんか自由の女神みたいなの作ってるのはどうかと思うけど。
でも、フットワークが軽くて、なんでもできちゃう。
あたしとは全然違う。


次に純平くん。あっこの記憶ちょっと古いね。
最初会った時は水着でさ、しばらく半裸だったんだよねぇ。あたしが服を作ってあげました!ふざけてフリフリのエプロンもちゃんと使ってくれたんだよね。
最年少で唯一の男子。あたしは結構雑にイジったりしてたんだけど、ちゃんと返してくれる。
意地悪ばっかのあたしにもご飯とかお水いっぱい集めて配ってくれたし、なんだかんだ強くて優しい良い子だ。
あたしとは全然違うね。


それから、つぐみちゃん。
なんか猫耳が生えてる。見た目は中学生くらいかな?
魔力がどうとか言ってて、ちょっとイタい子かなって思うけど普通に話してる分にはまともっていうか、年相応って感じ。
……と思ってたんだけど、ジェカちゃんと同じ23歳らしい。うっそだぁ。やっぱちょっとイタい子かも。
でも、ちっちゃくて素直で可愛い女の子って感じで、こんな孤島でも頑張ってる良い子だよ。
あたしなんかとは全然違う。



みんないい人ばっかだ。この人たちがいなかったら、今頃あたしはどうなってただろうな。
なんだかんだ楽しかったし……そう、楽しかった。

最初は最悪!って思ったけど、生きるのに必死で何も考える時間がなかったからかな。
あんまり嫌なことも考えなかった。


馬鹿みたい、死ぬつもりだったのになんでこんなに頑張ってたんだろうね。


……確かこの島、沈んじゃうんだっけ?
でも週に一回くらいは近くを船が通って、脱出できるかもしれないらしい。
助けが来たら、皆どうするのかな。

帰るのかな。

帰るのか。

そりゃそうだよね。誰だって帰りたいに決まってるもん。





確か、ここに来てもう七日間。




あたしは。