Eno.105 杠流流

■ Epilogue

フジミさんと共に羽瀬川家に戻ったルルは、『ひとはさん』の首元を三日三晩吸って元気を取り戻し、無人島で中断されてしまっていたトレーニングを再開した。

学校は夏休み。
特に影響が出ることもなく、まるで何事も無かったかのように再開された日常に
『寄り添う二人の像』が『あの日々』の存在を投げかけている。





ルルは自らの命を投げ出して誰かを救うことはなく、常に自分に余力を持たせていた。
”いい子”ではない。
明確に守りたいものがある。無事でいたい理由がある。
今の自分は、物語に語られるような”勇者”ではないのかもしれない。

……それで、いい。

『私』はあの時からずっとあなたの勇者。




―――死がふたりを分かつとも。