■ Epilogue
フジミさんと共に羽瀬川家に戻ったルルは、『ひとはさん』の首元を三日三晩吸って元気を取り戻し、無人島で中断されてしまっていたトレーニングを再開した。
学校は夏休み。
特に影響が出ることもなく、まるで何事も無かったかのように再開された日常に
『寄り添う二人の像』が『あの日々』の存在を投げかけている。
◆
ルルは自らの命を投げ出して誰かを救うことはなく、常に自分に余力を持たせていた。
”いい子”ではない。
明確に守りたいものがある。無事でいたい理由がある。
今の自分は、物語に語られるような”勇者”ではないのかもしれない。
……それで、いい。
『私』はあの時からずっとあなたの勇者。
―――死がふたりを分かつとも。