Eno.105 杠流流

■ ひとはさんへ 5

”前”の時はこんなに時間の流れがゆっくりじゃなかった気がするのは
ひとはさんがいたからでしょうか?

ええと、今夜明け前です。
南国のマリンブルーが広がる浜辺は、ただの夏休みや旅行なら
この上なくいい思い出になりそうな、美しい景色だと思います。

でも今はただ、憎らしい。
亜空間が使えたら、亜空間を伝って今すぐ帰るのに。
こんな『綺麗な景色』より、私はひとはさんがいるいつもの毎日がいい。
デスくん達に唐揚げをあげて、ファウストソード+1を磨いて、そういう毎日が……いい。

……夜が明けるまで、ただひとはさんに会いたいと、それだけを考えてしまうことを許してください。
夜が明けたら、ちゃんと勇者に戻るから。