Eno.10 エリオ・エリキサ

■ エリオ・エリキサ 無人島生活の記 その11 家族のこと

みんなのおかげで生活は順調だ。
だから、元いた場所のことを思い出すし、書いてしまう……

ボクらの世界———アル=ゼヴィンでは昔、空の上にたくさんの『島』が浮いていた。
でも大きな戦争があって、全部落ちてしまった。
その後、ボクたち魔族は荒れ果てた地上を蘇らせるために『島』に秘められた力を呼び起こし、環境の回復をしていった。
たくさんの人たちが力を合わせて、長い時間をかけて。今でもなお……

そして『島』の周りには街ができ、国ができることになる。
ボクの父さんと母さんのお仕事は、そのための準備。
くまなく歩いて調べてまわるんだ。どこにどれだけの人が住めるか、どんな資源が手に入るか。畑を作るとなったら何をどれだけ育てられそうか。

とてもりっぱな仕事だと思う。
だけど、まだボクたちが踏み入っていない『島』はもう決して多くはないのも事実だ。
それに、自分なりにやりたいって思うことが別に見つかったんだ。