Eno.241 ひとつの星

■ 2日目14時



これは、あなたが教えてくれた、だいじなことだよ。

あなたの”こえ”が、何度も聞こえるよ。
繰り返し、  繰り返し、 「あのね」
  ぱら ぱら
「あなたは」  繰り返し、
           きり、きり        
  季節よりも、 「わたしの宝もの」
 ジーッ……ジーッ……
「あなたは、ずっと、ずっと」 時計の針よりも、

早く、早く、回っていく。同じ"こえ"が聞こえるだけ。
ぼくは、”まて”が、”できる”のに。”ずるい”よね。

「わらって」

カチリ。

「お前か〜ッ!!? こんの、スケベ犬〜〜〜!!!」
「生きていくのに”みず”は必要でしょう。
 この場にいて、尚且つまだ余裕があるのに渡さない選択肢なんてないですよ。」


ぼくの前足で立つ地が、ぼくの世界だよ。
そして、あなたの両足で立つ地は、あなたの世界だよ。

「わぁ…!”シリウス”…さん、凄い凄いっ!!
 お魚さん、いっぱいですね!ふふ、ありがとうございます!!」


「あはは、みんななんだかんだ元気そうで何よりです。
この表情のまま、帰りたいですね。」


「え〜❤️ワンちゃんコレくれるの?
 可愛い〜❤️ありがとう❤️」


だから、”止まって”は”いけない”んだ。


「――もしくは嵐が去ったら、ひとりずつ世界のプレゼンでもしてもらおうか」

”おと”が、訊きたいよ。

「それでどれも気に入らなかったら、」

”こえ”の花弁がまぶしい。

「どれでもない場所に思い切って飛び込めば」

”みず”みたいに、あふれてくるよ。

「また冒険の始まりだ!」

だって、止まったらさ。

「じゃ、ひとまずおやすみ!」

”わらって”が、できないよ。