RECORD

Eno.251 鳴宮優希の記録

【4.心の“悪魔”】

 
 あの事件の後。
 保健室サボり部に集まって、
 そこから不思議な場所に通されて。

 僕は、僕の“切り札”の正体を、知った。
 メタフィジカ。心の中の悪魔トラウマを具現化し、
 武装とする能力。

「……僕には確かに、トラウマがある」


 意識する。
 忘れもしない、あの冬の日のこと。
 心に宿った隷属の意思。
 おかあさま。

 メタフィジカを使う者、メフィスターは、
 トラウマを抱えているからか不安定な者が多いらしい。
 あの時の僕を思い返せばまぁ、それはそう……だよな。
 そんなメフィスターたちを保護しているのが、
 橘先輩たちの特務心装部なんだって。
 僕らはそこに入部することになった。

 力を使い続けると怪奇になっていく、
 “エンダー化”についても教わった。
 ……この力との付き合い方を、
 特務心装部の皆と相談しながら考えていくよ。

 特務心装部には、カウンセラーの先生もいるし。

 あの時。僕の呼び出した鎖は、
 どうして僕自身を縛ったんだ?

 意見を得る為にも、またいずれ、あの場所へ。

  ◇

「…………僕は」


 “自分”について考えれば考えるほど、
 苦しくなって息が出来ない。
 “好き”を思えば、お母さまの声が口を出してきて。

 声が、出なくなる。
 どうしても、どうしても、あの冬の日が。

 乗り越えなければ。
 アラストルの鎖は、また僕を縛るのだろうか。

 

「……それでも、僕はお母さまを」


 愛しています。大事に思っています。
 貴方も僕を愛してくれているよね。
 苦しいのは、僕が悪い子だからであって、
 それはお母さまの責任ではないから。

 だから。だから。

 “助けて”なんて言葉は、消し去った。
 必要ない、必要ない。
 今の僕は、幸せなのだから!

「…………お母さま!」



  ◇

 メフィスターは、心の怪我人。
 鳴宮優希は己のトラウマを自覚こそしたが、
 怪我を怪我とは、認識していなかった。