RECORD
Eno.69 牙ヶ崎 剣の記録
時を遡り――強く雨音が響く梅雨の夜、ある夫婦が授かった二人の子が、産声を上げた。

瓜二つな双子の彼女らは剣と焔、そう名付けられた。
両親は、この双子を大層可愛がり
『この子達は立派な子に育つぞ』なんて息巻いていた。
しかし、彼女らが育つにつれ その気持ちに揺らぎが生まれ始める。

焔のその快活な性格は、周囲を明るく照らし、喜ばせた。
運動が大好きで、かけっこやサッカーじゃ同い年の中でも目立つほどだった

剣はまるで世の中を憎むかのように、喧嘩して、物を投げて、閉じこもった。
同い年の子の耳を噛み千切ろうとして、小さくない揉め事となったこともあった。
そんな正反対の二人を見て 母が、父が……両親が
どちらに愛情を傾けるかなんて、そんなことは分かりきったことだった。
『焔は可愛いね』『焔、何か食べたいものはあるかい?』
両親の言葉や関心は、常に焔に注がれた。
大切な苗に、毎日水をやるように、毎日、毎日。
愛情も、お金も、そのほとんどが 可愛い可愛い愛娘に。
『剣、お前はそこで反省してなさい』『アナタのご飯はありません』
剣は育つにつれてその暴力性に拍車がかかり
学校の窓を割っただの、教師を殴っただの、
クラスのいじめっ子の骨を折っただの、悪行に関しては話題に困らないほど。
小学の高学年になる頃には、両親の愛はすっかり冷めきってしまったようで
それどころか、拳さえも飛んでくるようになったとか。
そんな、誰から見ても正反対な剣と焔だったが
何故なのだろう 二人はずっと、ずぅっと 仲良しだった。

表と裏があるように、光に影があるように
二人は互いのことが大好きで、家に帰ればいつだって一緒に居た。
剣は焔を妬ましく思う素振りも見せず、大事な妹だと頭を撫でた
焔は剣を出来損ないだなんて口にもせず、お姉ちゃん!と親しく抱き着いた。
互いが互いの持たぬものを持っていたからだろうか
二人の心の凹凸はピッタリと嵌り合って、支え合っていたのだ。

『お姉ちゃん、わたしたち、ずっと一緒だよね?』
『当たり前だ アタシたちは、陰と陽なんだから』
①月と太陽
時を遡り――強く雨音が響く梅雨の夜、ある夫婦が授かった二人の子が、産声を上げた。

瓜二つな双子の彼女らは剣と焔、そう名付けられた。
両親は、この双子を大層可愛がり
『この子達は立派な子に育つぞ』なんて息巻いていた。
しかし、彼女らが育つにつれ その気持ちに揺らぎが生まれ始める。

焔のその快活な性格は、周囲を明るく照らし、喜ばせた。
運動が大好きで、かけっこやサッカーじゃ同い年の中でも目立つほどだった

剣はまるで世の中を憎むかのように、喧嘩して、物を投げて、閉じこもった。
同い年の子の耳を噛み千切ろうとして、小さくない揉め事となったこともあった。
そんな正反対の二人を見て 母が、父が……両親が
どちらに愛情を傾けるかなんて、そんなことは分かりきったことだった。
『焔は可愛いね』『焔、何か食べたいものはあるかい?』
両親の言葉や関心は、常に焔に注がれた。
大切な苗に、毎日水をやるように、毎日、毎日。
愛情も、お金も、そのほとんどが 可愛い可愛い愛娘に。
『剣、お前はそこで反省してなさい』『アナタのご飯はありません』
剣は育つにつれてその暴力性に拍車がかかり
学校の窓を割っただの、教師を殴っただの、
クラスのいじめっ子の骨を折っただの、悪行に関しては話題に困らないほど。
小学の高学年になる頃には、両親の愛はすっかり冷めきってしまったようで
それどころか、拳さえも飛んでくるようになったとか。
そんな、誰から見ても正反対な剣と焔だったが
何故なのだろう 二人はずっと、ずぅっと 仲良しだった。

表と裏があるように、光に影があるように
二人は互いのことが大好きで、家に帰ればいつだって一緒に居た。
剣は焔を妬ましく思う素振りも見せず、大事な妹だと頭を撫でた
焔は剣を出来損ないだなんて口にもせず、お姉ちゃん!と親しく抱き着いた。
互いが互いの持たぬものを持っていたからだろうか
二人の心の凹凸はピッタリと嵌り合って、支え合っていたのだ。

『お姉ちゃん、わたしたち、ずっと一緒だよね?』
『当たり前だ アタシたちは、陰と陽なんだから』