RECORD
Eno.610 幺幺山 美兎の記録

ビルの屋上、呟いた声は誰に届く事も無い。
つまんだ毛先は緩やかな曲線を描き、ぴんと数本跳ねた。

ぷち、と枝毛を千切る。
溜息が夜風に攫われて消えていく。
いい子ちゃんになればいいだけだと理解している、けれど。

制服のスカートが揺れて、はためいた。
今日はまだ、もう少し。夜風に当たっていよう。
独り言

「……髪、引っ張られて傷んじゃったな」
ビルの屋上、呟いた声は誰に届く事も無い。
つまんだ毛先は緩やかな曲線を描き、ぴんと数本跳ねた。

「あ、ここ切れて枝毛になってる……」
ぷち、と枝毛を千切る。
溜息が夜風に攫われて消えていく。
いい子ちゃんになればいいだけだと理解している、けれど。

「……帰りたくないな、本当に」
制服のスカートが揺れて、はためいた。
今日はまだ、もう少し。夜風に当たっていよう。