RECORD
Eno.40 結城しずくの記録


有志に新たなアバター体を提供してもらい、家族の家に転がり込んで数ヶ月。今の状態を表すなら、私は人間の肉体を得たゲーム機ということになるか。人としての立ち振る舞いは未だに慣れないが、なんとかやってきたつもりだ。
しかしこの身を得た理由は、登録されている持ち主、結城 智絵里に再会することにある。
そのために、凡その自由時間を費やして住所や身元などの調査を行った。
その中でメモリ内の写真からインターネット上のマップを頼りに照合を進めたところ、彼女は東京都多摩市の某病院で治療を受けていたらしいことが分かる。
恩人に会うためにストーカー紛いなことをするのは心が痛んだけど、彼女に会いたい一心で続けていたら、行き着くところまで行ってしまった。これを彼女が知れば笑ってくれるだろうか。……そっぽ向かれたらやだな。
……湿っぽくなっちゃいけない。それから然るべき準備を揃え、多摩市内の、かねてより興味のあった高専へ入学することになって。電車移動の最中、睡魔に耐えきれず眠ってしまったのだが……ここからが不可解だ。
私は電車の外、メモリ内の写真とはどれも一致しない景色の中目覚めた。一帯が廃墟となっていて、不可解な生物が蠢き回る空間──後に、そこを『裏世界』と呼ぶことを知ったのだが、そこで1日弱ほど彷徨うことを余儀なくされた。私が生粋の人間だったら道中行き倒れ、ここを生きて脱出することはできなかっただろう。結局、私は幸運にもカレントコーポレーションなる組織に保護された。そして、知らされることとなる。


チャプター0-1 様子が変?

「……これが異世界転移ものですか」

「帰りたい……それか智絵里に会わせて〜」
有志に新たなアバター体を提供してもらい、家族の家に転がり込んで数ヶ月。今の状態を表すなら、私は人間の肉体を得たゲーム機ということになるか。人としての立ち振る舞いは未だに慣れないが、なんとかやってきたつもりだ。
しかしこの身を得た理由は、登録されている持ち主、結城 智絵里に再会することにある。
そのために、凡その自由時間を費やして住所や身元などの調査を行った。
その中でメモリ内の写真からインターネット上のマップを頼りに照合を進めたところ、彼女は東京都多摩市の某病院で治療を受けていたらしいことが分かる。
恩人に会うためにストーカー紛いなことをするのは心が痛んだけど、彼女に会いたい一心で続けていたら、行き着くところまで行ってしまった。これを彼女が知れば笑ってくれるだろうか。……そっぽ向かれたらやだな。
……湿っぽくなっちゃいけない。それから然るべき準備を揃え、多摩市内の、かねてより興味のあった高専へ入学することになって。電車移動の最中、睡魔に耐えきれず眠ってしまったのだが……ここからが不可解だ。
私は電車の外、メモリ内の写真とはどれも一致しない景色の中目覚めた。一帯が廃墟となっていて、不可解な生物が蠢き回る空間──後に、そこを『裏世界』と呼ぶことを知ったのだが、そこで1日弱ほど彷徨うことを余儀なくされた。私が生粋の人間だったら道中行き倒れ、ここを生きて脱出することはできなかっただろう。結局、私は幸運にもカレントコーポレーションなる組織に保護された。そして、知らされることとなる。

「この北摩市にとって、私は『異世界人』『神秘』に分類される存在だということ」

「同時に、ここは私の知る世界とは異なる世界軸にあるということ」