RECORD
Eno.67 黒井 瞳の記録
むかしばなし
「……婆ちゃん、ほんとにやるの?」
暮れた空の下――
一人の男が、目の前の老婆に問いかける。
「なんじゃ、怖気づいたか」
電柱から電柱へ――それらを繋げる電線に止まる何匹もの烏。
黒い野次馬たちが、静かに二人の様子を眺めていた。
「ここまで来て、止めるつもりか?」
「 っ……い、いや…… 」
「あの女は儂等を裏切った。否定、罵倒、逃走――
どこの馬の骨かも分からん青二才と媾うて、こんな猿まで作りおった」
老婆の視線の先には、気を失い、地面に横たわる一人の少女。
「やっぱりやめようよ!こんなのバレたら――」
「 黙れッ!! 」
老婆の怒声に呼応して、烏の群れが静寂を搔き消した。
「阿保が……御上なんぞ知るか!!
“シガミ様”を怒らせたら終い――儂等全員根絶やしなるんじゃぞ!!
そうなるぐらいなら、あのアホどもを怒らせとった方がまだマシじゃ!
……それに、あの大馬鹿者にとってもええ機会じゃろ。
儂等から逃げた罪――この猿一匹で償えるんじゃからな。
ほれ、はよぉ始めるで……なぁに、心配せんでもええ」
――全ては“■■”の為じゃ
暮れた空の下――
一人の男が、目の前の老婆に問いかける。
「なんじゃ、怖気づいたか」
電柱から電柱へ――それらを繋げる電線に止まる何匹もの烏。
黒い野次馬たちが、静かに二人の様子を眺めていた。
「ここまで来て、止めるつもりか?」
「 っ……い、いや…… 」
「あの女は儂等を裏切った。否定、罵倒、逃走――
どこの馬の骨かも分からん青二才と媾うて、こんな猿まで作りおった」
老婆の視線の先には、気を失い、地面に横たわる一人の少女。
「やっぱりやめようよ!こんなのバレたら――」
「 黙れッ!! 」
老婆の怒声に呼応して、烏の群れが静寂を搔き消した。
「阿保が……御上なんぞ知るか!!
“シガミ様”を怒らせたら終い――儂等全員根絶やしなるんじゃぞ!!
そうなるぐらいなら、あのアホどもを怒らせとった方がまだマシじゃ!
……それに、あの大馬鹿者にとってもええ機会じゃろ。
儂等から逃げた罪――この猿一匹で償えるんじゃからな。
ほれ、はよぉ始めるで……なぁに、心配せんでもええ」
――全ては“■■”の為じゃ