RECORD
科学に必要なもの:定量性
物事の様子または変化などを、数字や数量に置き換えて分析することができる性質、その状態のこと。
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「タララッタッタッタッタ」

「たららったったったった!」

「たららったったったったったったったったったったったったったたたたたたた?」

「多い多い多い。どこまでいくんだ」

「ぬえ~~?」

「ぬえ~じゃないの」

「ぬえはぬえだよ?」

「お前さあ……一人称、ぬえだかとらだかはっきりさせろよ」

「そうでした。とらはぬえじゃなくて、とらでいたいとおもっていました」

(こいつ……いまいち話が通じてんのかわからんところがあるんだよな……)

「では気を取り直して……」

「三分クッキングのお時間です」

「たららったったったった!」

「やったやった、そのくだりは」

「今日はフレンチトーストを作ります」

「ふれんちとーと」

「フレンチトーストな」

「それはおいしいですか?」

「はい。それはとてもおいしいです」

「んふ~~!」

「はいはい。はしゃぐなはしゃぐな」

「とてもたのしみ。はやくたべたい」

「ぬええ、はやくだよ。はやくね」

「わかったから肩に登るな!」

スン……

(そして聞き分けはいいんだよな)

「材料はこちら。
卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンス、食パンです」

「れっさーぱんだ!」

「それはお前な」

「まずは卵液を作ります。パン以外の全部を混ぜれば終わり。
これにパンを浸します」

「ぬえ~」

「だいたい片面半日ぐらいずつ浸したものがこちらです。
フライパンにバターを落としてこれを焼いていきます」

「いいにおい!」

「弱火で蓋をして、蒸らすようにじっくり焼きましょう。
中の卵液に火が通らないとなまぐさくて悲しい気持ちになります」

「ぬええ……」

「さわんなって。じっくり待つの」

「とらはもうまてないです!」

「大丈夫。とらは待てるよ。」

「うしおがそういうならまてます……」

(ホント、聞き分けだけはいいんだけどな)

「……ほら、自分のぶんは自分で焼いてみ」

「ぬぇ、え~」

「焼けました。
最後にはちみつをかけたら……出来上がりです」


「無言の圧がすごいな……」

「ほれ。うまく焼けたほうやるから」

「ふんふん!」

「お前のやったぐちゃっとなったほうは……
俺が処理します」

「んじゃまあ熱い内に食べましょう。いただきます」

「!!
おい、しーーーーい!」

「んー、うまいうまい。一日がかりで漬けただけのことはあるな……」

「ぬええ。こっちのは、ちょっとだ」

「あッ、おい、自分の食えよ。なんで俺のを盗むんだ」

「どうして?」

「どうしてじゃないんだよ。
人のものをとったらダメなの。
俺もお前のぶん全部食ってやろうか」

「どうして味が、ちがうの?」

「……違うことあるかよ。同じレシピでやってんだから同じ味がすんだろ。それが再現性ってもんだ」


「ならないよ?
とらが二匹ねずみをつかまえたとき、味はそれぞれべつべつでした」

「野良のネズミにゃ個体差があるかもしんねーけど、これは料理だからな……
料理は科学。同じように作ったら、同じ味になるようにできてるの」

「ぬえー……」

「でも、おなじじゃないよ?」

「……あ?」

「とらののほうがずっとおいしいよ?」

「んなわけねーだろ……」

「くらべてみて?」

「はいはい……」

(ん?)

「……確かに、こっちのほうが味気ないな」

「どうして?」

(どうしてだ……?
違うのは焼き方だけだ。
こんなわかりやすく、味がしなくなる要素がない。)

「どうして?」

(だいたい、さっきまでは普通にうまいフレンチトーストだったはずだ。
でも、今は違う。
こいつが口をつけてから、急に味が失われた?)

「どうして?」

「こっちはうしおがくれたから」

「そっちは、とらが、うしおのものをとったから?」
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定量性(Quantitativity)
物事の様子または変化などを、数字や数量に置き換えて分析することができる性質、その状態のこと。
例えば料理のレシピは、材料の分量や調理工程に要する時間(加熱時間など)を量的に表すことが可能であるため定量的である。
しかし料理の味わいは主観的体験であり、量的に表すことができないため定量的ではない。
重さは量的に表すことが可能であるため定量的であるが、
罪の重さは量的に表すことができないため定量的ではない。
では神秘は?