RECORD
Eno.251 鳴宮優希の記録
気になることがあったから、
特務心装部に相談に行ったんだ。
あの日、僕のメタフィジカは、
どうして僕を拘束したのだろう?
そんなんじゃ、戦えないのに。
和泉先輩は、僕に問うた。

欲しいものなんてないよと答えた僕に、
先輩は、言ったんだ。

…………。
なら、なら、空っぽな、僕は。
──生きていると、言えるの?
分かんなくなっちゃった。
僕が“好き”を言っても。
お母さまは、否定しかしなかった。
奏翔がいた。宮瀬先輩がいた。
新しく、至藤先輩という人も来た。
みんなで、色々な話をした。
その中で、考えて、感じて。

僕の“好き”を見つけていこうと、思うよ。
一部の認識が改まった。
僕は何かを好きになっても良くて、
僕は別に悪くはなくて。
この場所でなら、“好き”を主張しても、許される。


ここでなら、許されるんだろう?

宮瀬先輩の言葉のお陰で、ちょっと息が出来た。
“正しい”には色々あると、至藤先輩が教えてくれた。
納得のいく“正しさ”を探してみれば良いと、
先輩は僕に言った。
お母さまだけが“正しい”のではないと知った。
様々な価値観に触れて、知って、
ちゃんと“僕”を見つけないと。
……そうしたいから。
奏翔と約束をひとつした。
今は苦しくて言えないけれど。
いつか、君に僕の最初の“好き”を伝えること。
優しい奏翔。隣でそっと背を撫でてくれた君。
一緒にいると落ち着く。痛みも苦しみもマシになる。
そんな君が、僕の“好き”を知りたいって、言ったから。

いつか、いつか、君に。
互いの“好き”を分かち合えたなら、
それはきっと、とても楽しいことだから。
◇
色々と得るものの多かった相談だった。
特務心装部の皆さん、そして奏翔には感謝がいっぱいだ。
ほんとうの自分、見つめ直せ。
この際、お母さまは、置いといて。
罪悪感も、仕舞っといて。

ゆっくり、ゆっくり。
その答えを、探しに行こう。
たとえ、今が迷子でも。
道はみんなが照らしてくれる。
【5.迷子の先へ】
気になることがあったから、
特務心装部に相談に行ったんだ。
あの日、僕のメタフィジカは、
どうして僕を拘束したのだろう?
そんなんじゃ、戦えないのに。
和泉先輩は、僕に問うた。

『……優希は今……
何かが欲しいと思って行動しとるか……?』
欲しいものなんてないよと答えた僕に、
先輩は、言ったんだ。

『欲望とは、生きとし生ける者の力だ。
必死さの度合いはともあれ、欲しい物のために
走る事が、生きている証だ』
…………。
なら、なら、空っぽな、僕は。
──生きていると、言えるの?
分かんなくなっちゃった。
僕が“好き”を言っても。
お母さまは、否定しかしなかった。
奏翔がいた。宮瀬先輩がいた。
新しく、至藤先輩という人も来た。
みんなで、色々な話をした。
その中で、考えて、感じて。

「……手探りでも、一歩ずつ」
僕の“好き”を見つけていこうと、思うよ。
一部の認識が改まった。
僕は何かを好きになっても良くて、
僕は別に悪くはなくて。
この場所でなら、“好き”を主張しても、許される。

「……なら、ここでぐらいは」

「……もっと、“好き”の話をするよう、
意識して……みよう、かな」
ここでなら、許されるんだろう?

『君は君でいていいんだ』
宮瀬先輩の言葉のお陰で、ちょっと息が出来た。
“正しい”には色々あると、至藤先輩が教えてくれた。
納得のいく“正しさ”を探してみれば良いと、
先輩は僕に言った。
お母さまだけが“正しい”のではないと知った。
様々な価値観に触れて、知って、
ちゃんと“僕”を見つけないと。
……そうしたいから。
奏翔と約束をひとつした。
今は苦しくて言えないけれど。
いつか、君に僕の最初の“好き”を伝えること。
優しい奏翔。隣でそっと背を撫でてくれた君。
一緒にいると落ち着く。痛みも苦しみもマシになる。
そんな君が、僕の“好き”を知りたいって、言ったから。

「──約束」
いつか、いつか、君に。
互いの“好き”を分かち合えたなら、
それはきっと、とても楽しいことだから。
◇
色々と得るものの多かった相談だった。
特務心装部の皆さん、そして奏翔には感謝がいっぱいだ。
ほんとうの自分、見つめ直せ。
この際、お母さまは、置いといて。
罪悪感も、仕舞っといて。

「…………僕は」
ゆっくり、ゆっくり。
その答えを、探しに行こう。
たとえ、今が迷子でも。
道はみんなが照らしてくれる。