RECORD

Eno.712 茅鳴 ほみの記録

茅鳴直生の日誌 #3

「今日はね、ドームのグルメをさがしてきました!
 大学生のおにいさんのれんらくさきもらってきたよ」


なんつう……一周回って申し訳なくなる。
丼はわかるんだけど、「先生はこっちね」ってサラダ3人前くらい出されるの何? ほみに懇願して肉を分けてもらって食った。

「すいぞくかんに行ってきました〜。
 おいしいおさかなどれかな〜ってみてたらね、
 おさかなにくわしいおにいさんがおしえてくれたの。
 ということで今日はイワシさんです」


俺が日雇いで稼いできたバイト代、早速娯楽に使われたのか。
これで高級魚を買ってこられてたら家計が崩壊するところだった。イワシしかなかったがまだマシか。

前々から思ってたけど、こいつの栄養バランス感覚は偏りすぎだろ。肉ばっかの日、野菜だけの日、炭水化物祭り……。
一応まともに教えていないから、という言い訳は立つが。

ほみがまだ人の形になりはじめた頃、
俺は実験と称して人間の教材を与えていた。
本や映像や……俺の姿もそうだったかもしれない。
だが、こいつはあっという間に、
与えた情報以上に人間を真似してみせた。
今では家事も積極的にこなし、地域のゴミ捨てのルールさえ守る。
……家がこんなに片付いているのは薄気味悪い。変な飯とはいえ、手作りの料理を食わされることも。

今のところ、ほみからは攻撃的な様子や害意、そういった兆候は一切感じることができない。
お前はいったい、何がしたいんだ?