RECORD

Eno.559 赫岬理恵子/理恵奈/理恵美の記録

赤い靴の群れ──薔薇の香りと私の居場所

お茶会が始まった。
私は赤い薔薇のコサージュをつけていたの。
それが今日の印──お客さんではなく、「おもてなしをする側」というしるし。

腕時計はおじさんにお願いして買ってもらったの。
赤くて可愛くて、針がくるくる動くのを見ていると、時間がとてもやさしく思えた。

お茶会にはたくさんの人が来てくれたわ。
学校で会った人、裏の通路で出会った人、私じゃない『姉妹』が知っている顔……
その全部が、今ここにいる。
この光景の中に、私はちゃんといる。

私は、練習したとおりにお茶を淹れるの。
ティーポットを温めて、お湯を注いで、茶葉が泳ぐのをじっと見て、
ちょうどいい時間を腕時計で計るの。
少しドキドキしていたけれど、お茶の香りが私を落ち着かせてくれた。

とても忙しかったわ。
次から次へと人が来て、カップを並べて、笑顔を交わして……
私には向いていないかもって思ってたのに、気づけば、たくさんの人と話していた。

疲れたけど、嬉しかったの。
私が知られていくのが、この風景の中に混ざっていくのが──
本当に、本当に、嬉しかったの。