RECORD

Eno.327 六角 しよりの記録

█月4日

それから、わたしは放課後、旧校舎で『よりしろさん』と遊ぶようになりました。

『よりしろさん』はよく噂話を話してくれました。
『かくれんぼ』、『無限図書館』、『透明先生』

『放課後の影語り』



「ねぇ、知ってる?名前をなくしたあの子の噂話。
誰も知らないあの子の名前。呼ばれなくなっちゃったから消えたんだって。
席はあるのに名簿、クラス写真からいなくなっちゃうって。
あの子は最後、放課後で遊んでいたらしいよ。
影踏み三回、遊びましょう。

いや違う、誰かに作った噂話を語りたくてー……。

ねぇ、きみ、自分の名前思い出せる?」





そういえば、自分はだれだっけ。
今は何日?
ずっとこの夕ぐれにいる気がする。

からすが鳴いている。

かげが長い。『よりしろさん』とつながってしまうほど。

「おれって、誰かについていないと存在が難しい」


「依り代ってそういうものでしょ?」



「次の友達が来るまで、おれの依り代になっておくれよ」



「きみはおれ。おれはきみ。友達だろう?ねぇ、『六角しより・・・・・』」



ふっ、と暗くなった気がした。