RECORD

Eno.40 結城しずくの記録

チャプター0-2 いとことペルソナ

「あなたは……?」「え……え……!?」

「わ……わたし!?」


人は仮面ペルソナをするように、表で出していい情報と裏でひた隠しにする情報がある。
この街は特に分かりやすい。神秘というものから人々の普遍を守るように、ひた隠し、日常を演じる。
もっと言えば、ノーマルを演じ続けることで自身の社会性を示し、そこに害を与えないと示すことにも繋がる。
それは街の人々を守るためであり、自分自身を守るためでもある。云わばルール尺度だ。

いきなりだが日記に入ろう。この前、わたしと瓜二つの存在……恐らくは神秘とばったり出くわした。
彼女は(当たり前だが)わたしに雰囲気が似ていたが、お互いに驚いて話をしたところどうやら彼女には1週間以前の記憶がないことが分かった。
……記憶喪失中の並行同位存在かという線もあったが、そもそもわたしがイレギュラーな存在すぎてそれも考えにくい。
いや、誰が初見でわたしのことを指してゲーム機だと言えるのか。それにわたしはそう言われない努力をしてきた。
人の外だと扱われなければ、人のペルソナを守っていれば、この街では例え人でなくても生きていけるのだ!

わたしは、彼女にどうしたいかを聞いた。彼女は正直に、悩んで、悩んで、悩み抜いた上で。
『解らない』と言った。だから、考える時間を与えたいと思った。
同時に、彼女になるべく多くの可能性を残したいとも思った。
人のペルソナを維持しながら、神秘としての困り事を親身に聞いてくれそうな場所……
管理局と迷ったが、わたしはアザーサイドコロニストを彼女に教えた。

彼女が生きていたいならば、彼らと共存する道を選ぶだろう。
彼女が人になりたいのならば、この街の中でペルソナを着けていれば、人として在れるだろう。
そして、彼女がわたしと似て非なる、それでいて『彼女自身』として在れるように……

『いとこ』という付け焼き刃の関係性と、『涼暮そら』の名前を彼女に与えた。

彼女がまだ思っていなくとも、わたしは念う。

『沢山学んで、遊んで、食べて。あなただからこそ・・・・・・・・できること。』

『そして、見つかりますように……あなたにとって、大切で愛してやまないものFavoriteが。』


──雨上がりの涼暮れた空が、わたしとあの子を眩く照らしていた。