RECORD

Eno.7 瀬波 りり子の記録

[北摩市内 アキシマ物流ターミナル近く レジデンスオブレジデンス西北摩 1101号室]



部屋の隅で、鏡を眺める。
いわゆる姿見というやつで、私の身長でもすべてが歪まずに収まる。
鏡にはもちろん私が映っていて、それは制服を着ている。

学校に行く前に身だしなみを整える私。高校二年生。
長過ぎる髪をまっすぐ伸ばして、抜け毛を落とし、きれいにまとめる。
もう顔も洗ったし(必要ないけれど)、歯も磨いた(いらないのに)。
忘れ物もないはずだし、自主勉強のためのノートも鞄に詰めてある。

あとは……すこし早い時間だから、少しテレビでも見て時間を潰そうかな。



『北摩で手に入らないものなら当社にお任せ! 株式会社荷降にふらし
『北摩のすべてが集まる場所。アキシマ物流ターミナル』

CMの時間だった。見るもんないな。
ま、いいか。早めに着いたら自習しよう。
いってきま~……

そうだ。その前にもう一回だけ前髪整えちゃお。
鏡のほうに――







裏世界への出入り口は扉や窓、門といった『出入りに関するもの』に不定期に生じる、らしい。
鏡は通常、出入りに関するものではないが……
かつて、異世界への出入りに「鏡面のような氷」を用いていたばり子にとっては、
それは十分に出入り口だと呼べるのだろう。







鏡に映る"当機"は私に問いかける。


「ハンカチとティッシュ持ちました?」



持ってるよ。予備も一緒にね!




「いってきま~す」