RECORD

Eno.31 珠洲枝 暁近の記録

……手が滑った

 

伝わったならよかった……いやいいのか? ううん
まあよかった
05/16 02:35


なんか うーん
05/16 02:35


ミツキくんにまでそういうこと言われるのか……
05/16 02:35



05/16 02:35


いや えっと ちがくて
嫌とかではなくて
なんだろう
05/16 02:35


その
05/16 02:36


なつはさあ 昔っから何かと俺のこと守りたがりなのね
05/16 02:36


信じて見守ってもくれるけど 大事にされてるのもわかってるけど
時々複雑な気持ちになる 俺だって姉ちゃんのこと守れるよ みたいな
05/16 02:36


そう言ったら「そうだね」って笑われるのがわかってるから、言ったことないけど
05/16 02:37


最近もなんか……ずっと秘密にされてたことがあって
話せない事情があったのもわかるし 仕方ないとも思うけど
05/16 02:37


俺ができることってなんだろうとか 俺ずーっとこの人の下にいて守られてんのかなとか
05/16 02:37


なんかそれって、なつが独りみたいで
05/16 02:37


なんか
05/16 02:37


そういう
05/16 02:37


うーーー
05/16 02:37


すげーーーー子供っぽ!
情けな
05/16 02:38


ごめん なんか
だからまあ何が言いたいかっていうと
05/16 02:38


ミツキくんも、なんかあったら話してね
俺じゃなくてもいいけど 他の頼りになる友達とかでもいいけど
05/16 02:38


ミツキくんには そうやって俺に言えるだけの根拠があるのかもしんないけどさ
だからって、独りになんないでね
05/16 02:39



.
.
.

送信済みのSURF。
今更取り返せないあれやこれや。
問題の部分を読み返して、ぼふんとベッドに突っ伏す。

…………恥ずかしい。
なんでつらつらと感情ぶつけてるんだ、俺は。
向こうはただ、「ちゃんと人を頼ってくださいね」って……
当たり前の言葉をくれただけなのに。
なんで………

「あーーーーーもう!!!」

わしゃわしゃ髪を掻き混ぜて、小さな声で(何せもう夜中も夜中だ)呻く。
枕と鼻の先がこすれて、むずっかゆくてそわそわした。



……薄々とはわかってる。
最近できた、年下の友人蛍七葉 満月のメッセージ。
言外に示された、“何かあったらあなたの助けになれる”っていう自負。

俺はたぶん、ちょっと……いやだいぶ、それが羨ましかったんだ。



力になりたいのは本当。
独りにしたくないのも本当。

でもその根っこには、俺の抱えてる自分への不満とか……
“なんとかできる”って言い切れるミツキくんを──
人だけど人じゃない、俺よりずっと大人びたなつと、重ねて見てるところもあったのかもしれなくて。


──もしかしたら。そんなこと考えたくもないけど。俺。
ミツキくんあの子に頼りにしてもらうことで、自分を満足させようなつの代わりにしようとしてんのかなあ──



 ーーーーーーっっっ!!!!!」

ボフッ。
枕に盛大に顔を埋める。叫ぶ。
物理的に、無理やり声を押し殺す。
くだんないこと全部振り払うみたいに、思いっきり首をぶんぶん振って。


「もー寝よ! なんか変な思考なってる。……消灯!」

手早く壁まで走って、スイッチオフ。ぱっと消える灯り。
なるたけ急いで布団にもぐって。
ぐっと目を閉じて、できるだけ後ろ向きじゃない気持ちを自分の中に探す。


裏世界とか、神秘とか、それに向き合うとか、世界を守るとか。
そういうややこしいことが一気に起こったのもたぶんある。
疲れてんのも、絶対に、ある。
もし重ねてたから何なんだ。
友達の助けになりたい理由がなんだったとしたって、結局同じことだろ──

よし。よおーーし。とりあえず、こういう時は一旦全部忘れて寝る。
全部寝て起きてから。それがいい!


「うしっ」
「おやすみ!」

今日のさんぽで、まふに全力で走り回させられたのもあったのだろう。
自分に言い聞かせるみたいな一言と一緒に、
睡魔は意外なほどあっさりやってきて──


              ほんのちょっとだけ、ほっとした。