RECORD

Eno.115 古埜岸姉弟の記録

なれそめ③

「見て見て〜似合う〜〜?」


「似合う〜〜!」


「似合うね」


「良い感じだな。
 今使ってるやつ、だいぶほつれてきてただろ。
 だから母の日は新しいエプロンが良いかと思って」


「あ〜り〜が〜と〜!
 前のと交代交代で使う〜!」


「え、取り替えないのか」


「実は前のエプロンは虎徹と一緒に選んだやつなのだ〜
 だから思い出の品、みたいな?
 2枚あって全然問題なし! どっちか使ってる間に洗濯できるし!」


「ああ、そうだったね」


「マジかよ! 全然知らなかったそんなの!」


「おい……なら先に言えよ親父。
 知ってたら別のもん考えられたのに」


「いやキサキさんと同じで
 2枚あっても良いかなって……」


「そうそう!
 今回もらったのも思い出の品だからね〜!」












「──キサキ、さん。
 表世界で家庭に入るって……本気ですか。
 裏世界の仕事は辞めて?」


「そだよ〜!
 まあ裏の仕事っつっても、表と裏を繋ぐ手伝いだったし?
 そうしないと、虎徹はいつまでも
 表の暮らし慣れないでしょ?」


「それは、まあ。そうかもしれません」


「私、家事頑張るからさ〜
 買いに行こうよ、エプロン!」


「え、エプロン?」


「ずっと使うでしょ!
 虎徹に選んでほしいな〜」


「そういうのは……
 慣れませんが、かまいませんよ。
 そうですね……

 色は……やっぱり、
 赤ですか」


「うん! 赤がいい〜!
 よくわかったね」


「キサキさん、
 いつでも赤い上着とスカート
 ……着ていらっしゃいますからね」