RECORD

Eno.251 鳴宮優希の記録

【6.鎖の鍵を】

 
 『助けて』と言ったら、
 君はちゃんと、助けてくれたね。


  ◇

 些細なきっかけからだった。
 またお母さまを怒らせて、
 いつもみたいに罵声と暴力を振るわれて。

 苦しかった。もう限界だった。
 『出て行け』と追い出されたから。
 僕は、奏翔の言葉と特務心装部を思い出したんだ。

 その先のことはちょっと記憶が曖昧。
 動転してた。色々な人たちが助けてくれた。
 土岐さんのくれたドーナツを食べたら落ち着いて、
 ちょっと話が出来るようになって。

 話をした。泣いた。気持ちが軽くなった。
 僕のことは、奏翔の家が何とかしてくれる。
 もう、あんな酷い親の元に帰る必要なんて、ないんだ。

 僕はお母さまに対する“嫌い”の感情を自覚した。

 でも、もう大丈夫!

「……ありがとう!」


 鎖の鍵は、もう。

 これから、僕は幸せになってく。
 好きなものもやりたいことも、いっぱい見つけるよ。
 もうそれを咎める人はいない。僕は自由になったんだ!

 いつか、いつか。
 この痛みが、もっとずっと軽くなったのなら。
 その時は奏翔に、僕の最初の“好き”を言おう。
 そう、約束しているんだから。