RECORD

Eno.327 六角 しよりの記録

ゴの噂話

「ねぇ、知ってる?名前をなくしたあの子の噂話。
誰も知らないあの子の名前。呼ばれなくなっちゃったから消えたんだって。
席はあるのに名簿、クラス写真からいなくなっちゃうって」





「……おれ?おれ」



「……」





ノートがない。

忘れないように大切に使いっていた。書き貯めた。

名前を忘れないように本名も書いて。

噂話としての名前も書いて。


「……」



「な、なぁ。きみはおれの噂話を知ってるか?」



「なぁ!このままじゃあまた名前を呼ばれない!名前は大事なものなんだ!噂話の顔、話のタイトル!」



「依り代みたいなー……」




「依り代」





「……ねぇ、知ってる?よりしろさんの噂話。」



烏が鳴いた。
肯定するように。