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【日記13】大鳥居の話
そう、これはよくある話。
なんてことはない、何の変哲もない日常の一つ。
LOCATION:北摩テクノポリス北部(裏) → 北摩湖 → 螺千城 → 【遺物】みかまりのみち
雨止みから少し経って、大鳥居がすっかり乾いた頃。
風に吹かれる布切れ一枚と、落下傘が一つ。
「マダ~?」
「まだ。もうちょっと待て。
敷布被りのお嬢と違って俺は自力で飛べないんだよ」
>>250306
鳥居の真上は螺千城の一番高い所。
これより先に螺千城はなく、これより上に螺千城は無い。
上へ下へと伸びていった区画の終わり。終点へようこそ。
>>250368
「やれやれ、やっとついた。腕が疲れた。
ほら見てみろ敷布被りのお嬢。真下が断崖だ。
こっから落ちたらひとたまりもないな……」
目眩がしそうな高さなのは飛んでいた時からだったけれど。
それにしたってまあ高い。鳥居の上に降り立つなんて本来は罰当たりなのだけれど、ここで二人を咎める者は誰も居なかった。福の神だっていつも居るとは限らないのだ。居ない事の方が多いかもしれない。
>>250801
橙色を反射して、吹いたシャボン玉が流されていく。
これもまた駄菓子屋不明門堂の神秘玩具の一つ。
流される瞬間こそ美しいが、消え去るのはほんの一瞬。指先でつついたり壁に当たるだけで弾けてしまう。その性質から帯びた神秘がある。
これが、もしも割れずに───、
>>251169
「無理に決まってるだろ。シャボン玉は……
屋根までしか飛ばないように出来てるんだから」
>>251256
腰かけたそこからフワフワと風に乗って落ちていくそれが。
もしも割れずに真下か真上までたどり着けたのなら───。
お願い事が一つ叶うんだとか。
「眉唾物の話だよ、敷布被りのお嬢。
実現不可能なものだからこそ商品として成り立ってる。
これで全員分の願いが叶ったら世はおしまいだ」
>>251399
「そんなこと言われてもなあ……。
そういうものなんだから仕方ないだろ。
これがただのシャボン玉以上でも以下でもないのを
今のところ俺は見たこと無いよ」
流れ星だったり魔法のランプだったり願いを叶える逸話の在る怪奇はいくつもあるが、裏世界に来てから帯びる神秘の程度などたかが知れている。
>>251578
「ソレジャア……イツモノ噂話!オシエテ!」
「俺がねね婆から聞いた話はもう粗方お嬢に
話し尽くしたじゃないか。ストックが無い」
「新シイ話ハ?」
「聞いちゃいねえんだから。
じゃあ、そうだな……最近拠点で聞いてきた話。
こっから見える北摩湖あるだろ?満月の夜にな……」
>>251901
「───という話。はいおしまい。どっとはらい」
「終ワッチャッタ……」
やがてシャボン玉はすべて割れた。
大鳥居の上から布一枚と落下傘一つが飛び立つまで、さほど時間はかからなかった。

「今紙飛行機の群れ居なかったか?」

「エ?」

パタパタパタ……










