RECORD
Eno.232 月影誠の記録
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朝にアレックスさんに泥抜きしたザリガニを振る舞った。
どうやら裏世界に迷い込み、不意打ちを食らったらしい。
丸一日彷徨い、やっとのところで救助されたのだと語った。
勿体ない、と思ってしまった。
きっと退治を推奨されている怪異だ。殺していい相手だ。
顔には出なかったと思うけれど……こういうとき、心配より先に加虐欲が出てしまう。
本当に、嫌だ。純粋に、心から心配したいのに。
学校では特に何もなかった。
強いていうならば、京を揶揄っているうちに、今朝のこともあって欲求が大きくなる。
これはだめだな。裏世界に行って『発散』させないと。
口調が穏やかなときは何を考えているか分からない。
分かっているよ。大体俺の口調が『いつも以上に』穏やかなときは。
興奮を抑えながら、品定めを行っているときだ。
夜はそういうことで、裏世界に行った。
火災現場跡があって、声が聞こえてきて。
幽霊がいないかと思い探して。けれど、声だけが響いていた。
それでもまあ、悪くない。
死ぬ間際を想像し、末路の光景を思い浮かべる。
死に際の藻掻く姿の、なんと美しいこと。
惜しいな。幽霊でもいたら、楽にするという名目で狩れたのに。
そんなことを考えていると、随分とキラキラした中学生がいた。
彼にとっては、大人の殆どはキラキラしていないらしい。
反論は求めていない。己の中でそれが事実で、確固たる世界の見方。
穢れた者に対しては、手にした斧で制裁を下すのだろう。
どこまでも愚直で、過激で、狂気的。
あぁ、あぁ。願わくば、俺が大人になるまで待っていてくれよ。
そのときは。きっと、楽しい狩りができると思うから。

獲物、狩り損ねちゃったな。ちょっと夜更かしして遊んでこようか。
どうやら裏世界に迷い込み、不意打ちを食らったらしい。
丸一日彷徨い、やっとのところで救助されたのだと語った。
勿体ない、と思ってしまった。
きっと退治を推奨されている怪異だ。殺していい相手だ。
顔には出なかったと思うけれど……こういうとき、心配より先に加虐欲が出てしまう。
本当に、嫌だ。純粋に、心から心配したいのに。
学校では特に何もなかった。
強いていうならば、京を揶揄っているうちに、今朝のこともあって欲求が大きくなる。
これはだめだな。裏世界に行って『発散』させないと。
口調が穏やかなときは何を考えているか分からない。
分かっているよ。大体俺の口調が『いつも以上に』穏やかなときは。
興奮を抑えながら、品定めを行っているときだ。
夜はそういうことで、裏世界に行った。
火災現場跡があって、声が聞こえてきて。
幽霊がいないかと思い探して。けれど、声だけが響いていた。
それでもまあ、悪くない。
死ぬ間際を想像し、末路の光景を思い浮かべる。
死に際の藻掻く姿の、なんと美しいこと。
惜しいな。幽霊でもいたら、楽にするという名目で狩れたのに。
そんなことを考えていると、随分とキラキラした中学生がいた。
彼にとっては、大人の殆どはキラキラしていないらしい。
反論は求めていない。己の中でそれが事実で、確固たる世界の見方。
穢れた者に対しては、手にした斧で制裁を下すのだろう。
どこまでも愚直で、過激で、狂気的。
あぁ、あぁ。願わくば、俺が大人になるまで待っていてくれよ。
そのときは。きっと、楽しい狩りができると思うから。

「―― また会おうね、シャオ」
獲物、狩り損ねちゃったな。ちょっと夜更かしして遊んでこようか。