RECORD

Eno.67 黒井 瞳の記録

むかしばなし③

――猫の声が聞こえた。

刃を振り下ろす腕を止め、雑音なきごえが鳴った方を向く。
しかし、そこには誰もいない。
あるのは静寂――

「……待て」


おかしい。

騒いでた野次馬
儂を止めようとした腑抜け
供物にするはずだった小娘

先程さっきまで居たはずの生物バカどもが、忽然と姿を消した。

「何じゃ、これは……いったい、何が起きて」


周りを見渡しても、視界に映るのは静寂のみ。
異変――突然の出来事に、焦燥感が募る。

短刀を握り直し、構える。
次の一手に備えて――