RECORD

Eno.832 雪村六花の記録

つないだその手は、

私より冷たくて、心地よくひんやりしていた。
誰かの手を冷たいと思ったのは私にとって……はじめての経験だったかもしれない。
掲げた手を見つめていると、いつだったかの小さい女の子の怯えた顔が脳裏に浮かんだ。

「冷たい!……おねえちゃんも、おばけなの…?」

咄嗟に振り払われ、どうすればいいのかわからず所在なく虚空に漂わせた手。
あの子は無事に「表」に帰れたのだろうか。


あの時から願っていた。
手に入れたいと望んでいた。
――温かい手を。
響やみんなと過ごしていれば、いつかなれるだろうか?


本物の「人間・・」に。