RECORD
天体観測_10

「決めないといけないものがある、
という話でしたけど……」

「確認した限り、必要事項は全部記入したはず ですよ?」

「都合上、灰原様の現在の視覚能力は『神秘』のひとつとして扱われます」
「こちらで管理する分には問題ないのですが」
「やはり、ないと不便でしょう?

「何がですか?」

「それはもちろん」


第七条 神秘適性管理
1. 技能保有者は定期的に神秘適性検査を受け、適性値の監視を受けるものとする。
2. 神秘適性の異常な変動が見られた場合、直ちに神秘管理局へ報告しなければならない。
3. 神秘適性の過度な上昇または低下が認められる場合、技能実践の一時停止を命じられることがある。
『北摩テクノポリス対神秘学術技能規則』
……『技能』という名目で、まだ学術を修めたわけではないけれど。
自分もまた、神秘を帯びて、保有する者として、相応の手続きを踏む必要が生まれた。
どちらかというと、手続きの方がやたらと大変だったが、
それは割愛する。
で、言われたのが、自分の持つ神秘……この場合は異能力にあたるんだろうか?
に、名前を付けないか?という話だ。
転会さん曰く、便宜上、『千里眼』だか、神秘の表出状態に沿った呼び方や、
また書類明記の記載番号だか何だかを用いることもできるけど、
それじゃあ味気ないだろうと。
わかるけど。
わかるけど…………。
……正直言って、そうした想像の能も引き出しも持ち合わせていない。
かっこよさとか。非日常感とか。ここでも相応に「ありきたり」な話が出てきて、今更驚かなくなったきたものの、
だからって身構えているわけでもない。
だから。
自分は、自分に知っている中で、もっとも“それらしい”名前でいいか。
と、半ば投げやりな考えに至った。
別に、何でもいいとは思わないし……。


「…………」
未解明の力を、解明のために使うこと。
それより滑稽なものはない、と、個人的には考える。
だって、わからない公式で何を解くというんだ。
だから、これは自分にとって、ある種の“定義”でもあった。
何のために使う神秘か。
何を目的に、僕はこれと向き合うか。









天体観測
(1).『天体観測』は、対象者が帯びている神秘によって発揮される超常的な能力(以下[異能])である。
(2).この異能は対象が覚醒状態にある場合、恒常的に効果を発揮している。