RECORD

Eno.53 浅川 葵の記録

浅  川  葵

毛玉がアルパカになり葵が中学2年になる頃には、だんだんと葵に寄り付く怪奇現象も少なくなっていった。
単純に年齢を重ねたことによる怪奇離れだろうと考えられたが、そこにアルパカの影響があるのかは未知数のままだった。
依然としてアルパカは葵の鞄、もしくは葵の近くでしか行動せず、何も食べず何も飲まず。
ときおり興味のあるものを首を伸ばして見つめたあと「プェ~ン」と一鳴きして去ることを繰り返していた。

そんな折、母の北摩への転勤が決まる。
葵を神秘の濃い地域へ移住させるのは避けたいことであったが、弟の榊ともどもまだ手のかかる時期。
家を空けることの多い父の事情も相まって苦渋の決断をすることになる。

かくして浅川家は北摩の東地区へ居住を移す。
もちろん、そこにもアルパカがついてきたままで。