RECORD
Eno.1461 篠崎 駿の記録
砕ける夢
俺の名前は篠崎駿、18歳。夜ってのは嫌いだ。静かすぎて、頭の中がやかましくなる。特にこんな時間、ベッドに転がると、いつもあのクソみたいな夢に引きずり込まれる。
部屋の隅、埃をかぶったギターが月明かりに鈍く光ってる。見なきゃいいのに、目が離せねえ。
「ちっ、めんどくせえ。さっさと寝ちまおう」
目を閉じると、雨の匂いが鼻をつく。あの夏、と同じ蒸し暑い夜だ。
俺は自転車を漕いでた。ヘッドフォンから流れるグランジの重低音が、胸をガンガン震わせる。
明日のライブ、コンテストだ。バンドのセットリストを頭で繰り返してた。
あいつの調子いい声が耳に残る。なのに、昨日は喧嘩した。
「お前、適当すぎんだろ!」
「本気じゃねえって言うのかよ!」
あの時の俺はいつもよりキツかった。あいつの目が曇った瞬間、胸が締め付けられた。謝りたかった。けど、口が動かねえ。いつもこうだ。
突然、目の前が白く光る。トラックのヘッドライトだ。雨で滑るアスファルト、ブレーキのキーキー音が耳を刺す。
「ふざけんじゃねぇ!」
そう叫んだ瞬間、自転車が横に滑り、右手を地面に叩きつけた。
骨が軋む音、雨に混じる血の感触。痛みより、ギターが弾けなくなる恐怖が頭を支配した。
「やめろ…頼む、こんなの…!」
叫び声は雨に飲み込まれ、意識が暗闇に沈む。
そこから場面は変わる。病院の消毒液の匂い、吐き気がするほど嫌いだ。
右手に巻かれた包帯がやたら重い。医者が冷たく言う。
「神経の損傷、完全な回復は難しい」と隣で親父が俯いて、紙コップを握り潰してる。
熱いコーヒーが零れてんのに気づかねえ。
「親父、あちぃだろ、馬鹿かよ」と吐き捨てたけど、俺の心の中はぐちゃぐちゃだ。
(なんで俺なんだよ…なんでだよ…)
親父の目が俺をじっと見てる。不器用で、言葉にならねえけど、なんか伝わってくる。心配してるんだ、うざったいけど、俺はここのどこかで安心していた。
また場面が変わる。ライブハウスのステージ、あいつがいた場所は空っぽだ。ギターケースが雨の道路に転がり、弦が切れる音が響く。
あの夜、あいつに謝りたかった。けど、俺の言葉がいつもみたいにキツすぎた。
「人はどうせ裏切る」と吐き捨てたのは俺だ。なのに、心のどこかで叫んでる。
「信じなきゃ、何も変わらねえ…!」
ハッと目が覚める。汗でシャツが張り付き、息が荒い。
時計は午前3時半。隣の部屋から親父のいびきが聞こえてくる。
「うるせえな、親父…」と呟くけど、胸の奥がざわつく。
夢の残響が頭にこびりついて離れねえ。
あの事故、あいつの顔、切れた弦。部屋の隅のギターに目がいく。
埃まみれの弦が月明かりに光ってる。触れそうで、触れねえ。
「ちっ、めんどくせえな」
ベッドに倒れ込み、俺はまた目を閉じる。夜はまだ終わらねえ。
部屋の隅、埃をかぶったギターが月明かりに鈍く光ってる。見なきゃいいのに、目が離せねえ。
「ちっ、めんどくせえ。さっさと寝ちまおう」
目を閉じると、雨の匂いが鼻をつく。あの夏、と同じ蒸し暑い夜だ。
俺は自転車を漕いでた。ヘッドフォンから流れるグランジの重低音が、胸をガンガン震わせる。
明日のライブ、コンテストだ。バンドのセットリストを頭で繰り返してた。
あいつの調子いい声が耳に残る。なのに、昨日は喧嘩した。
「お前、適当すぎんだろ!」
「本気じゃねえって言うのかよ!」
あの時の俺はいつもよりキツかった。あいつの目が曇った瞬間、胸が締め付けられた。謝りたかった。けど、口が動かねえ。いつもこうだ。
突然、目の前が白く光る。トラックのヘッドライトだ。雨で滑るアスファルト、ブレーキのキーキー音が耳を刺す。
「ふざけんじゃねぇ!」
そう叫んだ瞬間、自転車が横に滑り、右手を地面に叩きつけた。
骨が軋む音、雨に混じる血の感触。痛みより、ギターが弾けなくなる恐怖が頭を支配した。
「やめろ…頼む、こんなの…!」
叫び声は雨に飲み込まれ、意識が暗闇に沈む。
そこから場面は変わる。病院の消毒液の匂い、吐き気がするほど嫌いだ。
右手に巻かれた包帯がやたら重い。医者が冷たく言う。
「神経の損傷、完全な回復は難しい」と隣で親父が俯いて、紙コップを握り潰してる。
熱いコーヒーが零れてんのに気づかねえ。
「親父、あちぃだろ、馬鹿かよ」と吐き捨てたけど、俺の心の中はぐちゃぐちゃだ。
(なんで俺なんだよ…なんでだよ…)
親父の目が俺をじっと見てる。不器用で、言葉にならねえけど、なんか伝わってくる。心配してるんだ、うざったいけど、俺はここのどこかで安心していた。
また場面が変わる。ライブハウスのステージ、あいつがいた場所は空っぽだ。ギターケースが雨の道路に転がり、弦が切れる音が響く。
あの夜、あいつに謝りたかった。けど、俺の言葉がいつもみたいにキツすぎた。
「人はどうせ裏切る」と吐き捨てたのは俺だ。なのに、心のどこかで叫んでる。
「信じなきゃ、何も変わらねえ…!」
ハッと目が覚める。汗でシャツが張り付き、息が荒い。
時計は午前3時半。隣の部屋から親父のいびきが聞こえてくる。
「うるせえな、親父…」と呟くけど、胸の奥がざわつく。
夢の残響が頭にこびりついて離れねえ。
あの事故、あいつの顔、切れた弦。部屋の隅のギターに目がいく。
埃まみれの弦が月明かりに光ってる。触れそうで、触れねえ。
「ちっ、めんどくせえな」
ベッドに倒れ込み、俺はまた目を閉じる。夜はまだ終わらねえ。