RECORD
Eno.1461 篠崎 駿の記録
新たな一歩
引っ越してきてまだ慣れない。新しいアパートは静かすぎて、夜はバイクのパーツを弄ってても頭の中がざわつく。今日も手が止まって、なんか落ち着かなくて、夕方バイクで街に出た。横浜の海から少し離れたエリア、ネオンがチカチカしてる。適当に走ってたら、妙な看板が目に入った。「不思議なお茶会」。不思議の国のアリスみたいな雰囲気で、ドアにトランプの模様。いわゆるコンカフェってやつだ。クチコミが良かったのを思い出して、覚悟を決めて扉を開けた。
「すいませーん、やってますか!?」って叫んだら、青いドレスに白いエプロンの女の子が出てきた。たぶん俺と同い年くらい。白ウサギのコスプレで、「おかえりなさい、アリス」ってニコッと笑う。なんか、客は全員「アリス」って呼ばれるルールらしい。名前を聞かれないのは楽だな、と思った。俺はテーブルに案内された、「不思議の国のルールのご説明が必要ですか? あなたはアリス。まず、こちらのカチューシャをお召しになって」って、リボン付きのカチューシャを渡してきた。鏡に映った自分、めっちゃバカっぽくて吹き出しそうだった。「あっ、はい…よろしくお願いします、白ウサギさん…」って、つい笑いながら答えた。
店の中は別世界だった。古い時計や本がゴチャゴチャ置いてあって、BGMはピアノとギターが混ざった不思議な曲。昔、バンドで聞いてたグランジにちょっと似てて、懐かしくて、でもちょっと苦しかった。彼女が「何を召し上がります? 楽しいお茶会にしましょうね」ってメニューを指すから、見てみたら名前が面白い。《うさぎのとおりみち》、《トランプ兵サンド》、《女王ロール》《お茶会セット》ってのがアフタヌーンティーっぽいやつで、スコーンがデカいらしい。なんか面白そうだったから、「じゃあこの《お茶会セット》でお願いします」って頼んだ。
白ウサギさんが「かしこまりました! ちょっと待っててね、アリス」ってスカートを翻してバックヤードに消えた。待ってる間、(楽しみだな)って思ってた。しばらくして、「お待たせしました、お茶会セットでーす」って彼女が戻ってきて、ポットから紅茶をカップに注いでくれた。スコーン、めっちゃデカくて雑に盛られてる。「スコーンは私たちも手伝ってるんですよー、全部目分量で作るのがこだわりです」ってニコニコしてる。俺、(うぉ…スコーンデカ…)って思いつつ、「いただきます」って手を合わせて食べた。「美味しい〜、すごく美味しいですよ!これ!!」って、つい声が出てた。彼女、嬉しそうに笑ってた。
紅茶飲みながら、なんか話が弾んだ。「いやー、実は最近こっちに引っ越して来て、ここのクチコミが良かったから来てみたんです」って話したら、「そうなんですね、ふふ、楽しんでもらえたらうれしいな」って紅茶のおかわりを注いでくれる。「何軒か先にもメイド喫茶?みたいなのもあるので、面白いかもですよ」って教えてくれた。「へー、そうなんですね! 今度行ってみます!」って答えたけど、なんかこの店の雰囲気が気に入っちゃってた。
スコーン食べてたら、彼女が「ほかに何か召し上がります?」って聞いてきたから、「ではお言葉に甘えて《うさぎのとおりみち》をもらってもいいですか?」って頼んだ。「はぁい! ちょっと待っててね」って、彼女がドーナツ持ってきて、「お待たせしました、《うさぎのとおりみち》。アリスはここを通ってここに来たんだよねぇ」って穴を指してニコッとする。俺、ドーナツ眺めながら「ふふ、たしかに普通のドーナツですね、でも普通のドーナツよりもなんだか美味しそうですよこれ!」って笑った。彼女、「ふふ、まぁ普通のドーナツなんですけど…おっと、今のなし。穴を塞いでしまいましょう」って、なんか楽しそうに返してくる。
「愛だね愛! それじゃ失礼して手づかみでいただきます」って言って、ドーナツを一口。「うーん美味しい!! 美味しいですよ!!」って、思わず叫んじまった。彼女、「そういってもらえると嬉しいなあ、アリスみたいにたくさん食べてくれるのは好ましいですよ~」って、ハートのポーズしてくる。「左様です」って変な返しに笑っちゃった。「そうなんですね、ふふ、楽しんでもらえたらうれしいな」って、彼女もニコニコ。なんか、母さんの笑顔を思い出すような、変な温かさがあった。
会計の時、「じゃあ今日はこの辺にしとくよ。今日は楽しかったよ、また来るよ白ウサギさん」って言ったら、「またきてね、アリス」って、入り口まで見送ってくれて、ヒラヒラ手を振ってた。「ありがとうございましたー」って声が背中に響いた。夜風に当たりながらバイクで帰ったけど、エンジンの振動がいつもより軽く感じた。あのデカいスコーン、シンプルなドーナツ、変なBGM、白ウサギさんの笑顔、なんか全部が妙に心地よかった。拒絶されるのが怖いのに、なんか話すの楽だった。音楽の話は出てこなかったけど、あの店の音、昔のバンドを思い出させた。
「不思議なお茶会」、変なとこだけど嫌いじゃない。いや、めっちゃ良かった。また行ってみたい。あの味と雰囲気、もう一回確かめたいんだ。
「すいませーん、やってますか!?」って叫んだら、青いドレスに白いエプロンの女の子が出てきた。たぶん俺と同い年くらい。白ウサギのコスプレで、「おかえりなさい、アリス」ってニコッと笑う。なんか、客は全員「アリス」って呼ばれるルールらしい。名前を聞かれないのは楽だな、と思った。俺はテーブルに案内された、「不思議の国のルールのご説明が必要ですか? あなたはアリス。まず、こちらのカチューシャをお召しになって」って、リボン付きのカチューシャを渡してきた。鏡に映った自分、めっちゃバカっぽくて吹き出しそうだった。「あっ、はい…よろしくお願いします、白ウサギさん…」って、つい笑いながら答えた。
店の中は別世界だった。古い時計や本がゴチャゴチャ置いてあって、BGMはピアノとギターが混ざった不思議な曲。昔、バンドで聞いてたグランジにちょっと似てて、懐かしくて、でもちょっと苦しかった。彼女が「何を召し上がります? 楽しいお茶会にしましょうね」ってメニューを指すから、見てみたら名前が面白い。《うさぎのとおりみち》、《トランプ兵サンド》、《女王ロール》《お茶会セット》ってのがアフタヌーンティーっぽいやつで、スコーンがデカいらしい。なんか面白そうだったから、「じゃあこの《お茶会セット》でお願いします」って頼んだ。
白ウサギさんが「かしこまりました! ちょっと待っててね、アリス」ってスカートを翻してバックヤードに消えた。待ってる間、(楽しみだな)って思ってた。しばらくして、「お待たせしました、お茶会セットでーす」って彼女が戻ってきて、ポットから紅茶をカップに注いでくれた。スコーン、めっちゃデカくて雑に盛られてる。「スコーンは私たちも手伝ってるんですよー、全部目分量で作るのがこだわりです」ってニコニコしてる。俺、(うぉ…スコーンデカ…)って思いつつ、「いただきます」って手を合わせて食べた。「美味しい〜、すごく美味しいですよ!これ!!」って、つい声が出てた。彼女、嬉しそうに笑ってた。
紅茶飲みながら、なんか話が弾んだ。「いやー、実は最近こっちに引っ越して来て、ここのクチコミが良かったから来てみたんです」って話したら、「そうなんですね、ふふ、楽しんでもらえたらうれしいな」って紅茶のおかわりを注いでくれる。「何軒か先にもメイド喫茶?みたいなのもあるので、面白いかもですよ」って教えてくれた。「へー、そうなんですね! 今度行ってみます!」って答えたけど、なんかこの店の雰囲気が気に入っちゃってた。
スコーン食べてたら、彼女が「ほかに何か召し上がります?」って聞いてきたから、「ではお言葉に甘えて《うさぎのとおりみち》をもらってもいいですか?」って頼んだ。「はぁい! ちょっと待っててね」って、彼女がドーナツ持ってきて、「お待たせしました、《うさぎのとおりみち》。アリスはここを通ってここに来たんだよねぇ」って穴を指してニコッとする。俺、ドーナツ眺めながら「ふふ、たしかに普通のドーナツですね、でも普通のドーナツよりもなんだか美味しそうですよこれ!」って笑った。彼女、「ふふ、まぁ普通のドーナツなんですけど…おっと、今のなし。穴を塞いでしまいましょう」って、なんか楽しそうに返してくる。
「愛だね愛! それじゃ失礼して手づかみでいただきます」って言って、ドーナツを一口。「うーん美味しい!! 美味しいですよ!!」って、思わず叫んじまった。彼女、「そういってもらえると嬉しいなあ、アリスみたいにたくさん食べてくれるのは好ましいですよ~」って、ハートのポーズしてくる。「左様です」って変な返しに笑っちゃった。「そうなんですね、ふふ、楽しんでもらえたらうれしいな」って、彼女もニコニコ。なんか、母さんの笑顔を思い出すような、変な温かさがあった。
会計の時、「じゃあ今日はこの辺にしとくよ。今日は楽しかったよ、また来るよ白ウサギさん」って言ったら、「またきてね、アリス」って、入り口まで見送ってくれて、ヒラヒラ手を振ってた。「ありがとうございましたー」って声が背中に響いた。夜風に当たりながらバイクで帰ったけど、エンジンの振動がいつもより軽く感じた。あのデカいスコーン、シンプルなドーナツ、変なBGM、白ウサギさんの笑顔、なんか全部が妙に心地よかった。拒絶されるのが怖いのに、なんか話すの楽だった。音楽の話は出てこなかったけど、あの店の音、昔のバンドを思い出させた。
「不思議なお茶会」、変なとこだけど嫌いじゃない。いや、めっちゃ良かった。また行ってみたい。あの味と雰囲気、もう一回確かめたいんだ。