RECORD

Eno.202 宇佐賀このみの記録

あちらの世界。

「お仕事で、裏世界に行くことが増えたなぁ‥」


「みんなと一緒だから、迷わないで行けるのは助かるけど」


「やっぱり、まだ戦闘って慣れないなー」


「これ、怖くなくなること、無いと思う‥」



「・・・・・」



このみは、自分が七歳の誕生日に家族で撮った写真をふと手に取った。
祖父と祖母と母と父と自分。
これがこのみの家族である。

7月7日の七夕の日が誕生日のこのみは、その写真の中でおめかしした浴衣姿で写っている。

祖父も祖母も母も、写真の中では嬉しそうな笑顔を見せている。
赤い髪と青い目をしている父親も、このみの肩に手を置いて柔らかく笑っていた。
これが父親との最後の写真である。

このみの父はこのみが七歳の誕生日からひと月ほどたった時に裏世界で行方不明となっていた。
それは、幼い彼女をかばって囮になった末の結果である。
そして十年が経とうとする現在でも死亡宣言は出されないまま、失踪者扱いになっている。

「私の目って、お父さんと一緒なんだよね‥」



「ねえ、おとうさん」


「おとうさんも、こんな怖い能力持ってたの・・・・??」



彼女の怪奇の能力は、眼球に生まれつき宿る魔法陣を介したレーザー光の発射。
所謂プロトン兵器のようなものである。
ただ、彼女はその性能を一割も発揮できていないのだが。

「・・・・・」



このみは、小さくため息をついて、写真を棚の上に置いた。
明日もまた、学校と、神秘管理局のお仕事だ。