RECORD

Eno.1461 篠崎 駿の記録

約束

如月のカウンター、コーヒーの香りが冷めた店内に漂う。さっき、月影 誠君って子と話した。裏世界の話、俺の闇、全部ぶちまけてしまった。ペンを握る手がまだ震えてる。昨日の任務の時命のやり取りのスリルと暴力の快感を俺は楽しんでいた。その瞬間に気づいて、店のトイレで吐いた。胃が裏返るような吐き気が止まらなかった。

誠君に言われた。「裏世界に行かなければ、その感覚には襲われない」簡単だ。でも、俺には無理だ。優の声が頭で叫ぶ。「困ってる人を助ける優しい人のままでいてね」3年前、祭りの夜、飲酒運転のトラックが君を奪った。病院のベッド、君の手は冷たかったのに、笑顔でそう言った。俺の右手は壊れ、ギターも夢も失った。でも、君の言葉が俺を縛る。如月の花の絵、ピックのコースター、君の笑顔の欠片。あの店は、君との約束の場所だ。

誠君に話した。優はここ、北摩出身で、神秘管理局の協力者だった。急に頭痛を訴えたり、記憶が飛んだり…今思えば、裏世界の影響だ。彼女も戦ってたんだ、俺と同じ闇と。なのに、誰も止めなかった。俺も止められなかった。あのトラックが全てを壊した瞬間、俺の心も砕けた。誠君は言った「あなたは命のやり取りの楽しさを、まだ否定できる」否定なんてできる訳がなかった。この暴力性が本当の俺なんじゃないかって、毎日恐怖が胸を刺す。優が信じた「優しい俺」は偽物か? 裏世界の俺は、血に酔う怪物だ。

でも、逃げられない。優が守ろうとしたもの、困ってる人を助けること、それが俺が生きる理由だ。誠君に言った。「たとえ修羅の道でも進む」裏世界の闇と向き合わなきゃ、君の約束も、君が戦った意味も無駄になる。優しいだけじゃ誰も守れない。暴力的な俺でも、君の意志を貫きたい。なぁ…優…君が今の俺を見たら失望するだろか?…でも、俺は戦うよ。君がやりたかった事を、如月を守るために。

誠君には感謝してる。自分の闇を話して、ちょっとだけ軽くなった。如月に来いって誘った。いつか、コーヒー淹れて、彼と笑い合える日が来るかな。