RECORD

Eno.608 五稜 拓海の記録

まあ、そーゆーかんじですわ

高校3年春

「多摩に転院?!」


「ええ、家族の転勤で。わたしだけココに残す事もできないと。それにあちらは医療的にも色々最先端だそうですし。」


「っんでもよお!なんつーかなあ!こうさあ!」


「それじゃあ、私を貰って面倒をみてくれますか?」


「おう!」


「・・・・・・」


「嘘ですよ、こっちから願い下げです。茶髪モンキー」


「ナンダトコノヤロー!」


「大丈夫、これで今生の別れじゃありません。
いつか多摩まで遊びにきてください。私の事が嫌いじゃなければ」



「つくづく勝てないなあ」


「そんな事言われたら、意地でも会いにいくしかねえじゃねえかよ。」



――――――――――
あれから、私が多摩に行って。
その後も定期的に連絡を取っていました。
彼はほっとけば毎日何通もメッセージを送ってくるので、少し疲れます。
まあ悪い気はしませんが・・・・・・先がない私に囚われていて欲しくない。
だから、私は意図的に疎遠になるように意識して返信する回数を減らしました。
そう、私達の出会いなんて犬が歩いていたら棒に当たった程度の事。
すぐに私の事なんて忘れてしまうほどの、たくさんの刺激があり、日常が彼には待っている。
・・・それで良い。
彼は、私には眩しすぎる・・・受け入れた覚悟を溶かす程に。
だから、また私は一人誰にも邪魔されなくなった快適な病院の屋上で黄昏るのです。
―――――――――――

1年後

「よ!会いたかったぜ」



「噓だろ…マジか」


「大マジ!お前を追いかけて俺も多摩の大学に進学してきた」


「茶髪モンキーがまともに大学入試なんて・・・AO入試か!」


「正っ解っ!」


「屁理屈と嘘つき大会なんぞおちゃのこさいさいよ、まあ言うは易し半分賭けだったけどなあ!」


「まあ入れたのはいいですけど、貴方勉強についていけるんですか?」


「・・・・・・」


「ダメみたいですね」


「感謝はしませんよ」