RECORD

Eno.636 二三木 多々狸の記録

むかしむかし:終い

死に蘇りまた墜ちて、探し主も居なくなったもぬけは奇跡を知らぬまま
再び朽ちるのみだったのです……と。ここで終いなら彼女は居ない

拾う神、と言えればよかったのでしょうが。しかしてそれは神に非ず
緑の髪を携えて、インクの壺を覗いたように深い黒に染まったその瞳
それも怪奇。この世界を通りすがっただけの、好奇心の悪魔というものよ

『貴方が殺したことを悔やむなら、貴方の"物語"であの子たちを生かしてあげる』


『その代わり、役目は二度と叶わない。貴方が守ってきたものは永劫に閉ざされるでしょう』


『くすくす。決められるかしら?もっともの話、返事が出来ればだけれどねぇ』





沈黙でした。

故に怪奇は目を丸くして、そのうえでほくそ笑む

『ふふ。ならその決意に応えて、おかしな行き場を与えてあげる』


『偽汽車、という怪奇というものがあるの。汽車に化けた狸が人を欺く
 けれど偽物の貴方が警告する時、皆は注意して辺りを見渡すはずでしょう?』


『即興にしては悪くない進みかしら。くすくす、仕上げてあげましょう
 そして神秘のアクセント、簡単な"なぞなぞ"と一緒に綴じ込めた』


『改めて、その亡骸達にその存在意味を与えたわぁ
 そして世界に思い出させてあげて頂戴。貴方が一体、なのか』



ここから先は怪奇彼女神秘答え。心残りは無いように


学生たちの側に人知れず潜み、共に暮らして帰り道を守る怪奇はここに編纂された
"物語"を抱く物という意味での主役の正体。子供たちの通り名は2と3の『ニーサン』
後悔に泣き叫ぶ己を抑え込み、音さえも光さえも閉ざしてまで、悪魔に意志を伝えた物がそれです

多摩23号踏切、それが正しい名前だったのです。探さなければ誰も思い出せない物ですがね
その最期はまた別の形で引き継がれました。千切れた体も魂も"物語"という神秘にて埋め合わせた怪奇


題名:二三木 多々狸『た抜き』の踏切はその使命のある限り、規則正しい二つの明かりと音を胸中に抱いて在るのです