RECORD

Eno.232 月影誠の記録

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京とよく一緒にいるのは、腐れ縁の一言が一番適切だと思う。
クロの正式な相棒になった辺りで一度出会って、こっちに来てからまた出会った。
あの頃は狂暴性が発露していなかったし、『おかしくなった日』よりも前のことだから、
今の裏の俺の戦う姿を見ると……いや、面白がるな、あいつなら。

あとは、あれは人を面白がって観察するタイプの怪異で、人の心は搭載されていない。
学校で見せる言葉、身振り手振り、感情、その全てが人の模倣。

だからこそ、気楽に付き合える。

催しは基本的に離れたところで眺めているだけ。
あれはそんな俺を面白がって、隣へとやってくる。そうして、眺めている。
人が楽しそうに過ごす時間を見るのが好きだ。人々の日常ほど暖かいものはない。
同時に、俺はどこか疎外感を感じずにはいられなかった。
幸せの方が大きかったから、それはほんの些細な『バグ』のようなものだった。
無視して大丈夫なもの。気に留めなくていいものだ。




あまり自ら大きな催しには参加しないし、京以外の奴とはいかないんだけど。
2-1の奴らで見に行って、人混みの中でパレードを見て。
人混みの中ではぐれないように手を繋いで。
抜け出す前に手を放して、はぐれて。後に合流したときは、かなり彼女は疲れていた。
そういうわけで、一緒に境界線の外で。賑やかな催しを見ていた。
いつもなら感じる疎外感を感じなかった。
一線を引いて、その外側から日常を眺める。
その時間を『共有』できる人がいる。
『人』と、日常を眺める時間を共有できる。


―― 一人じゃないことが、こんなにも安心できるって。知っているはずなのに。



「……クロが居なくても、寂しいって思わなかったな」



目を閉じて、眠りにつく。
繋いだ手に、まだ少しだけ感触が残っていた。