RECORD

Eno.1015 灰原 よたの記録

天体観測_13

怖かった。


人が戦うさまを、初めて見たかもしれない。

───厳密には違うか。
僕は裏世界に最初訪れた時、あれと似た光景をひとつ見た。
でも、それはほとんど一瞬のことだった。




















/Eno.44さま PC・当該ログをお借りしております














広場にやってきた梅園さんは、あの時と同じ笑顔をしていた。













あの時と同じ笑顔のまま、人だって殺せそうな“武器”を躊躇わずに振っていた。













確か何か言っていたような気もする。
あの時のこと、少し頭から抜け落ちている。





















……ただ、ただ怖かった。




恰もそれが当たり前であるかのように───振る舞えてしまうことそのものが、既に、僕にとっては理解しがたいことだった。
あの日、お茶会の給仕を務めながら笑う梅園さんは、優しそうで、温かくて、不安なんてひとつとなかった。


その延長線上に、彼は立っていた。




何もかもを飲み込んで堪えていた気がする。
感謝くらいは本心であってくれと自分に祈った。


あの人とは。一度会話を交わしたきりなのだ。
それでも、心臓を直で握り込まれたかのように、怖かった。










皆も。


皆も、まさか、“ああ”なのか。


それなら。


それなら、僕にできることは。















……あの瞬間、自分にとっても奇妙なことがひとつ起きた。
周囲の景色がぐんと近くに見えて、あのパズルの“核”が意識に投影された。
そこを狙って、光線が放たれた───覚えが、ある。













今更、自分の特性や能力を疑うつもりはない。
少なくとも、自分の帯びる神秘の力の一部であることは確かだろう。


レーザービームみたい、だった。




……ただ、恐らくは目に見えた攻撃よりも、
自分にしか映らない変化の方がよほど重要になってくるだろう。











ものが明瞭に 見えすぎる・・・・・


あの一瞬で、自分という人間の視界に大きく影響が出た、はずだ。











まるで、望遠鏡を覗いた時、みたいな。








「……」







───空を見上げる。
途方もない夕空の中に、数多の星が映る。


その星々ひとつひとつが、己に戦えと命じている、気がした。