RECORD

Eno.100 紫村 九十九の記録

-prologue-

――あれは昨年の夏祭りの際だっただろうか。


夕焼けとは言い難いほど、紅に染まった世界に気付いたら取り残されていた。

喉が焼ける。思考がヒリつく。
辺り一面、知り合いはおろか『人』と呼べるものさえ見つからない。

「俗にいう神隠しってヤツかァ……?」
御年15。よく考えなくても神隠しに遭う年齢ではないのは自分でもわかる。
じゃあ一体なんだっていうんだ……?

背後からとてつもない『何か』を感じる。殺気?好奇?羨望?
ダメだ振り返るな何も感じるな何も見るな!
「クソッ…、オレ走ったりすンの得意じゃねェんだって……!」
こういう時なんか唱えたるといいってばあちゃんが言ってたけどアレなんだったんだっけ!?



『   ?』
「ッ!?」
とてつもない殺気を感じたかと思えば、先ほどまで満ちていた『何か』の跡形もなく消え去っていた。
が、その代わりに、そう。

『彼女』がそこにいた。

記憶はそこで途切れる。おそらく気絶でもしたのだろう、目が覚めたら自宅のベッドだった。

――そして今現在。2回目の『裏世界』への渡航。そして北摩イチの神秘ハンター、近藤理香子氏と『彼女』、ダチュラさんが対峙してしまったのであった。