RECORD

Eno.225 葛山の記録

踏切の向こうにあの日の君は居ない



[石神井ニュータウン][手招き駅【裏】]
クズヤマ [Eno.225] 2025-05-31 23:40:08 No.986756

 踏切が鳴っていた。

 白い棒で区切られた先に電車は通らない。
 飾り気のない格好をした幼い少女が居る。
 あの人は隣のクラスの知り合いだ。委員会が同じの。

 自分はずっとそれを見つめている。
 それから、一歩踏み出した。

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[石神井ニュータウン][手招き駅【裏】]
[Eno.225] 2025-05-31 23:41:07 No.986820

>>986756



 踏切の向こうで、あの日の君が手を振った。



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[石神井ニュータウン][手招き駅【裏】]
クズヤマ [Eno.225] 2025-05-31 23:42:15 No.986879

>>986820
「!」

 その時、スマートデバイスの通知が鳴った。
 
「……はい」

 電話だった。その場に留まって、通話ボタンを押す。
 相手はインターン先の上司だった。

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『葛山さんですか。
 先日仰っていた件について、分かった事がありましたのでご連絡致しました』

 水崎さんの事務的な声が聞こえる。
 現実に引き戻されたような気分だ。現在地的には裏世界なんだけど。

「……あ、本当ですか。お願いします」

『結論から言いますと。
 暗闇の方の気配に関しては、葛山さんの帯びている神秘とは関係のない別のものです。
 独立した怪奇ですね』

「怪奇……ですか」

『怪奇です。
 現状、視線を感じるだけとの事でしたので、様子見とはなりますが』

「はあ……」

 怪奇なのか、あれ。
 それも何か嫌だな……。今まで怪奇に見られてたって事か。
 まだ自分の妄想であった方が幾らかマシかもしれない。
 そんな事を言っても致し方無いのだけれど。

『では、引き続き何かありましたらご連絡しますね』

「はい。ありがとうございます」

 通話が途切れる。

 いつの間にか警報は鳴り止んでいる。
 再び踏切に視線を向けると、そこには誰も居なかった。
 そもそも、あの人がそこに居る筈も無かった。

「……どうでもいいけど」

 気のせいだ、気のせい。願望も後悔もあるものか。
 僕はその場を後にする。



【プレイス:石神井ニュータウン - 手招き駅【裏】をお借りしました。】