RECORD

Eno.83 大御門 錦慈の記録

水音が聞こえている




母やみんなは僕のことを特別だと言ってくれる。
きっと、そう思いたいんだろう。
あの人たちにとって本当に存在しているか怪しい本物の神様より、
手を伸ばせば簡単に触れることができる偽物の神様の方が、
色々と都合が良かったりするだけだ。

それでいいけどね。
僕はそう扱われることに不満なんてないけどさ。



『例え神様から授かってなくても、錦慈は私にとって特別な子よ。』
本当にそうかな、普通の子供でもそう思える?

『錦慈様にお話を聞いていただけるのが1番の楽しみなんです。』
1番なわけないよね。

『貴方のおかげで人生が変わりました、ありがとう!』
別に手を貸してくれる人なら誰でも良かったんじゃない?

『なんでも叶えてくれる、本当に神様みたいな人ですよね。先輩は。』
できないことの方が多いよ、だって僕は君と同じく人間だからね。

『最期に、貴方と話せてよかった。』
嘘だよ。本当はもっと叶えて欲しいことがあった筈だ。



僕がやってることは誰もが身につけようと思えばできることだ。
僕だけができることじゃない。
当然だよね、だって僕は特別じゃない。
みんなと同じラインに立ってる。

どんなに頑張ったって、できることには限りがある。





「──神様に、なりたくはないですか?」








そんなの──