RECORD
Eno.340 月待 よすがの記録
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この力は神秘なんかじゃない。まともに生きられなくなった僕が唯一触れられるのが神秘だっただけ。
だから僕に不思議な力がある訳でもなくて、神秘というものが凄いだけなんだ。
たったこれだけのハンデで広くて深い"裏世界"を知ることが出来た。
人が見えなくなったのはきっと神秘への恋。
人に触れられなくなったのはきっと神秘への愛。
幸せだと思うよ。誰も知らない未知に触れる権利を、何も失わずに得たんだ。
……そう思うしかないでしょう?

――知ってるよ。僕は今のままでいい。好きなものだけ見ていられるのは幸せだから。

――それも知ってる。世界先生は僕の恩人だからね。信頼もしてる。

――たのしくない。聞かなくても分かるでしょう。

――僕の話、聞いてた?


―― …………。
変なの。
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記録:月待よすが④
氏名 月待 よすが
カナ ツキマチ ヨスガ
性別 女
学連 多摩科連
生年月日 平成20年 5月5日 生
現住所 東京都多摩市 南区 ハイツ薄冥 203号室
所属 神秘管理局/特別民間協力者 調査課
特筆事項:事故による後天的な相貌失認、感覚障害有。
調査任務の際は事前に他協力者の特徴を伝えること。
その他:感覚障害により触覚、痛覚の反応が鈍くなっておりますが、
神秘を帯びたものや怪奇に対しての感覚は従来通りのようです。
触れた神秘に対する直感的な形を認識し、間接的に神秘を感じ取ります。
認識誤認の異術や神秘の品を検知することが可能のため、
監視課への派遣も本人から了承を取っております。
この力は神秘なんかじゃない。まともに生きられなくなった僕が唯一触れられるのが神秘だっただけ。
だから僕に不思議な力がある訳でもなくて、神秘というものが凄いだけなんだ。
たったこれだけのハンデで広くて深い"裏世界"を知ることが出来た。
人が見えなくなったのはきっと神秘への恋。
人に触れられなくなったのはきっと神秘への愛。
幸せだと思うよ。誰も知らない未知に触れる権利を、何も失わずに得たんだ。
……そう思うしかないでしょう?

「……そうだね。脳の傷害は現代の医学じゃ治せない。所謂人体の神秘だ」
――知ってるよ。僕は今のままでいい。好きなものだけ見ていられるのは幸せだから。

「側頭葉の表面が傷ついて機能不全を起こしている。……俺は医術の進化のために神秘が役に立てばいいと思っているからね。よすがちゃんの事だって諦めてる訳じゃないよ」
――それも知ってる。世界先生は僕の恩人だからね。信頼もしてる。

「……学校は楽しい?」
――たのしくない。聞かなくても分かるでしょう。

「一応仕事だから……。でも楽しいみたいでよかった」
――僕の話、聞いてた?

「仕事だって言ったでしょ。ちゃんと聞いてたよ」

「……前回までは、"楽しいよ"って言ってたから」
―― …………。
変なの。
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