RECORD

Eno.160 琉華院 いのりの記録

あたしにできること

機関に所属して、裏世界に関わるようになって、何日か過ぎた。
あたしは応急医療処置実習を受講してたけど、依頼も届いて他の学科のガイダンスを受けることになった。
応急医療処置実習以外では、心象エネルギー哲学を受けていた。
こっちを受講しようとした理由は、まあ、なんとなく。
何にもできないあたしでも少しは一人で戦えるようにならないかな、って思っていた。


…………けれど、裏世界には普通に人の姿に見える敵もいる。
あたしが少し念じた力で、人の姿をした『なにか』が倒れる姿を見た時は、ちょっと怖くなった。

アレがたまたま裏世界に迷い込んだ普通の人か、それとも人の姿を真似た悪い怪奇かはわからない。
……実は後者、だったらいいのにね。



「……だからね、あたしやめたの」

「心象エネルギー哲学じゃなくって、災害対策技術基礎の方を頑張ることにしたの。
あ、回復は変わらずやるし、諦めた方ももしかしたら後でまた頑張るかもしれないけど」

「……元々向いてなかったんだよ。皆みたいに強い力もないし。
あたし、落ちこぼれでダメダメだもん。ダメダメだから、あたしはただ水を出すことしかできないし」

「…………えっ、痛くないのか、って?
ぜ、全然大丈夫だよ!痛くないよ!本当だよ!………………。」

「…………なんてね。本当は嘘だけど。
でもあたし、こんなことしかできないもん」

「あたしが前に出て代わりに傷つけば、皆傷つくことないもん。
あたしのおかげで皆が幸せになるなら、それがあたしの幸せだよ」