RECORD

Eno.251 鳴宮優希の記録

【10.きっと、これが】


 奏翔のことが、好きなんだと自覚した。
 僕の手を引いて、僕の背中を撫でてくれて。
 僕の“好き”を思い出させてくれた、

「……きみが、すき」


 意識したら、胸がどきどきする。
 いつも隣に居てくれる君。
 いつも以上にずっと、特別な存在に見えて。

 これまでは、手を繋ぐのが当たり前だったのに。
 ちょっと恥ずかしいって、照れくさいって、思うようになった。
 君の温もりに触れていると、心臓の音がうるさくなる。
 これが、恋、というものなんだろうか。

──君に会ってから、世界の全てが鮮やかになった。

──君のお陰で、僕は確かに救われた。


 君はこういった感情の機微には疎いから、
 僕から直接、真っ直ぐに言わなければ、
 気付いてはくれないのだろうけれど。

 顔赤くしてうつむいてたら、
 優しい君のことだ、心配してしまうのかな。
 君のせいだよ。

 誰かを好きになった時、
 どんな顔をしてどんな風に動けば良い?
 夏祭りにやりたいことはあるけれど。
 それまでの僕は、どうすれば良い?

「…………」


 想いが溢れて、胸が苦しい。
 夏祭り、拒絶されたらと思うと、苦しい。
 僕の向けるものは、親愛から恋愛に変化した。
 だけど、君は…………。

 苦しいな。
 君も僕のこと、好きでいてくれるかな。
 向ける感情の重さは、同じだろうか。

 考えたらもっと苦しくなるから、
 今はもうこれで、やめにしたの。

 まぁ、とりあえず。

「……きみが、すき」


 この気持ちは、紛れもなく本物だから。
 すきだよ。