RECORD

Eno.691 名栗 攻介の記録

中学時代10

身体にはそれぞれ独特のクセがある。

ストレスを感じること、個性も人それぞれで変わる。

正拳突き一つとっても一人一人にクセがあり、それは威力に大きく影響する。

訓練で一定の物には出来るだろうが、技に適合したクセを持つ人間には及ばないだろう。

俺は、これが『才能』と呼ばれるものの根幹だと認識した。

服を着ても着こなせない人間がいるように
技を習得しても身につかない人間がいる。

そして、それは教える人間によっても習熟度が左右する。

であるならば耳を傾けるべきは、人ではなく自分自身。

身体を動かすクセや重心の取り方
好きな動き、苦手な動き
戦術の傾向

一つずつ取り入れた知識と技を自分の身体に適合させる。

その作業が楽しくて夢中で打ち込み続けた。

そして中学三年の卒業間近に迫ったころ
ようやく雛型が完成した。

空手の拳、カポエラの蹴り、ムエタイの膝、シラットの肘
まだまだ探せば自分に合う動きはあるだろうが、ひとまずはこんなところか

自分に合わせるというだけど、人から見たら歪な動きに見えるだろう
それこそ、身体の部位がそれぞれ別の生き物のような。

家にある子ども向けの妖怪図鑑を思い出した。
猿の頭、虎の四肢、狸の胴体、蛇の尾

「鵺か……」

既に我流となった自分の武術に名前くらいは付けようと思っていた。

これが鵺流の始まり。
そして、ここが原点。