RECORD

Eno.22 雲隠 運太郎の記録

●終幕

※この日記には猟奇的、ホラー表現、流血表現があります。
 閲覧には注意してください。














 ───2021.■.■■ 都内23区に発生した、隔離された空間にて。





「…………叔父さん」




(体が、動かない、
    ゆみ、か……?)



「助けてくれるって言ったのに、嘘つき」






(そうだ、
   ゆみかを、助けないと、
     立てない、俺、どうなって)








 ただ、まだ温かい血溜まりが暗い空間に流れていく。
 半身を失い、血の抜けていく体は痛みすら感じない。




(……し、ぬ……?

       だめ、だ……

      ゆみかを、たすけなきゃ、

       つたえ、ないと、 コロちゃんが、待ってる……


  チカも……みんな、ころされ……)





「はじめから、こうすればよかったんだ。
 ねぇ、おばけさん」




 おばけさん、そう呼ばれれた暗い虚空から赤い目玉がいくつも覗く。



それはかつて叔父だった塊を膝に乗せる小さな少女をじっと見ていた。





「お願いが、あるの。

 私はもう、何もいらない。全部あげる。
 だから、叔父さんを助けてあげて」




(ゆ、みか、なにを、いって)


「疲れちゃった。
 もう何もいらないの。
 叔父さんは巻き込まれただけなの。
 だから、お願い」





(ゆみか、だめ、ダメだ)



目玉が少女を取り囲む。





床がゴポリと音を立てて、
その願いに応えるように少女の体が沈んでいく。



(……やめ、ろ……ゆみか……)



             弓彁ユミカ!!)



 手を伸ばすこともできず、
 音にもならぬ叫びは暗い海へ消えていった。




 ────そうして、一つが終わった。