RECORD

Eno.165 若宮芽歩城の記録

日報(20250507)

『取り立てた変化はなし。
 裏世界突入の報もまだなしのため、引き続き水族館にて業務を行う。』

若宮芽歩城。
束都京帝大学理学部生物学科卒、現多摩科学技術大学院大学海洋生命科学研究科進化生態学分野博士課程学生。
ANOTHER SEA WORLD飼育員。
――『羅生門』幽境封護院、北摩支部所属異常者・・・
好奇心は猫を殺すが、場末の組織は猫の手も借りたい。
知的好奇心のみで立ち入った異常者を拒む人はだれもいない。

若宮芽歩城の神秘の本質は、一般的な人間と比較したときの異常な処理能力にある。
描いた絵が実体化する? それは片鱗に過ぎない。描いた絵が望み通りに動いて、大量の労働力として賄われるのなら? 外付けの記憶領域。演算装置として動いたら?
束都の天才、多摩科連の狂人、羅生門の異常者。能ある鷹は爪を隠し、決して多くを表では語らない。
少なくとも、表の世界の若宮芽歩城は、ただ頭の回転が良く、手際がよくて、いつどこで何をしているのかさっぱり分からないだけの人だからだ。