RECORD

Eno.372 橘ネムの記録

【追想】よたかの星

星にあこがれた。
そらを目指していた。
子供の頃からの夢、いつからそこに焦がれていただろうか。

あの煌めく星々にゆきたい。それは不可能だと大人になって学んでも、心は星々に憧れて。

そしてその資格を得た。同じものを求める、一人の女性に惹かれあった。

初フライトは、彼女と共にゆけることとなった。
心が躍った。選ばれた時、人生の絶頂を感じた。
そして、フライトの日……それは起こった。


エンジンの不調、フライトの失敗。
瞬間、炎に包まれた。
皆が燃える中、私は彼女に確かに、抱きしめられたのだ。

目が覚めると四肢や焼けてなくなり、全身は焦げて計器につなぎとめられた状態だった。
助かったのは奇跡だったと。最愛の人が身を挺して守ってたからだと知ったのは、そのすぐあとだった。


私は、一夜にして全てを失ったのだ。


生き残ったとしても、苦しみに苛まれるだけで二度と宙そらにはいけない。
彼女が命がけで守ったものは、そんな燃えカスだけだった。



私は、絶望した。
何もかも届かない。届くはずだったそれは、遠く彼方に。

私は、いかねばならない。
私の、彼女の、夢を。
彼女の命を――――

彼女が残したものを―――――











夜鷹は星となった。
宙へ飛び立つ彗星へ。

それが目指した場所までたどり着いたかは。
誰にもわからない。