RECORD

Eno.340 月待 よすがの記録

不老不死


永遠の命と死なずの身体。
人の血を吸う代わりに神様の与えた定命を破るもの。
幾重にも細分化した、最も有名な神秘のひとつ。

けれど本当に"吸血鬼"が存在したわけじゃない。
噛まれて襲われれば自らも神に背いた存在になってしまうという恐怖から生まれた、御伽噺。
その神秘性が暴かれてしまえばただのまやかしで、存在なんかしやしない。

伝説の存在なんて、そんなもの。呪いは神秘に転じて、神秘が怪物を生んだだけのもの。

だから、君もきっとこの世界の被害者だ。加害者になることを強いられているだけ。
そういう点では最初から君と僕は似ていたのかもしれないし、正反対だったのかもしれない。

神秘が嫌いな君と、神秘を愛する僕。
表でしか生きられない裏面と、裏で生きていきたい表面。
どうしても息が苦しくて、神秘が無くちゃ生きていけなくて、人を利用する必要があるのは、おんなじ。

けれど君が僕に沢山の初めてをくれたのは本当のこと。
きっと一番最初に魅せられた神秘は、君だった。
初めて本当の意味で敬って、初めての体験をさせてくれた。
一番不安だった時に、手を引いてくれた 僕だけのせんぱい。

君に一番大切なものがあったっていいんだ。
異常を愛してやるのが僕じゃなくたっていい。
それでも、どうかいつまでも甘えさせてほしい。

「ボクが思うにさ。……手に入れたものを失うのが怖いだけなんじゃないか?本当は。」


鋭いね。神秘に触れたあの日から、本当はずっと恐れてる。
失うことが怖いから縁を切って、神秘を暴いたら興味を失う。
誰にも触れられたくなかった、僕の弱さ。……君なら、痛みを感じないように凍らせてくれるのかな。

これも暴かれたら消えてくれたらいいのに、弱点はずっと露呈したまま。
でも、そうだね。これを抱えて生きていかなきゃいけないなら、認めてしまうしかないのかも。

もしも覚悟が決まった時には、また利用・・させてね。